引き出しを開けると、正体不明のケーブルや部品が、ごちゃごちゃと入っている。
これが何の機器のケーブルだったのか、もう思い出せない。それっぽい形の部品も、いつからそこにあるのか分からない。それでも、なんとなく手が止まって、そのまま引き出しを閉じてしまう。
「いつか使うかもしれない」と思って残してあるけれど、実際に使った記憶はない。——そんな人に向けて書きます。
先に結論を言うと、ケーブルや部品を捨てられないのは、「いつか使うかも」という気持ちのせいだけではないかもしれません。それが何のための物か、分からなくなっているから、判断そのものができずにいるのだと思います。

捨てられないのは、片付けが苦手だからではない
まず言っておきたいのは、ケーブルや部品の引き出しが片付かないのは、あなたが片付け下手だからではない、ということです。
服や本なら、見ればだいたい何のための物か分かります。着るか、読むか、そのくらいの判断で済みます。でも、ケーブルや部品は、見ただけでは何のための物か分からないことが多い。用途が分からなければ、いるかいらないかの判断そのものが始められません。
私の場合、判断できない物は、とりあえず先送りしていました。そして、その行き先になっていたのが「それっぽい引き出し」です。何のための物か分からないので、その場では捨てられない。かといって、使う場所も分からないので、結局同じ引き出しへ戻していました。
充電器一つとっても、どの機器の物だったか、今も現役で使っているのか、もう使わなくなった機器の物なのか、パッと見ただけでは分かりません。分からないまま判断しようとすると、それだけで時間も気力も使います。だから、判断を後回しにしてしまうのは、自然なことなのだと思います。
「それっぽい引き出し」に放り込むのが、いちばん簡単な先送り
服なら、着ない物はクローゼットの奥に押しやられても、いつか目に入って気になります。でも、ケーブルや部品は、いったん引き出しに入れてしまうと、二度と目に入りません。判断を保留したまま、存在ごと忘れられます。
「いつか使うかも」は、何のための物か分からないときに、判断をいったん保留するための言葉になっていることがあります。本当に使う予定があるというより、今は判断できないので、とりあえず残しておく。私の場合も、そうやって「それっぽい引き出し」へ戻した物が増えていました。
私の場合、これがよく起きます
私の場合、ケーブル類はとにかく溜まりやすいです。
一度使わないまましまい込んで、そのまま引き出しの肥やしになっているケーブルが何本もあります。よく分からないパーツも、なんとなく「それっぽい引き出し」に放り込んで、そのまま放置してしまいます。
見るたびに、何のための物だったか思い出せないので、結局また同じ場所に戻してしまう。判断を先送りするたびに、引き出しの中身は少しずつ増えていきました。捨てる決心がつかないというより、「これが何かを思い出す」という最初の一歩でつまずいて、そのまま止まってしまう感覚です。

判断の基準は、「今、何につながるか」で見る
そこでやってみているのは、昔の用途を完全に思い出そうとする代わりに、「これは、今の家で何につながるか。何に取り付ける物か」を見る、という方向です。
- 特定の機器だけに使う物なら、その機器が今もあるかを見る。 対応する機器がもうなければ、手放す候補にできます。
- 複数の機器に使える物なら、今使っている機器に合う物か確認する。 合うなら、必要な本数だけ残します。
- 取り付け先や対応機器を確認できない物は、無理に試さず「用途不明」として分けておく。 ※充電器やACアダプターは、端子の形だけで使えると判断せず、対応する機器が確認できない物はそのまま分けておきます。
昔の記憶をすべてたどらなくても、今の暮らしとのつながりなら、少し確認しやすくなります。捨てることより先に、使い道が分かる物と分からない物を分ける。それだけでも、引き出しの中身は見直しやすくなると思います。
疲れた日は、判断せずにしまってもいい
夜勤明けや連勤中は、付属していたケーブルや外れた部品まで、その場で判断できない日もあります。
そんな日は、「あとで確認する物」として一か所に置くだけでも構いません。ただ、用途が分かっている物の引き出しへそのまま混ぜると、正体不明の物が増えていきます。
疲れた日に捨てる判断まではせず、保留する場所だけ分けておく。それなら、次に見直すときの負担を少し減らせます。
全部を一気に見直さなくていい
念のため書いておくと、引き出しの中身を、今すぐ全部見直す必要はありません。
「まだ使えるかもしれない」と思って残しているケーブルや部品を、無理に捨てる必要もありません。買い直すお金がもったいない、という気持ちも、大事にしていいと思います。全部を一気に判断しようとすると、それだけで疲れてしまいます。
大切なのは、全部捨てることではなく、使い道が分かる物と、正体不明の物を混ぜたままにしないことです。一つずつ、今のつながりで見ていく。それだけで十分です。
今日できる、小さな一歩
もし一つだけ試すなら、引き出しからケーブルを一本だけ取り出して、こう考えてみてください。
「これは、今の家で何につながる?」
使い道が分かれば、その機器の近くへ移すか、用途を一言書いておく。分からなければ、今日は捨てずに「用途不明」として分けておく。一本だけ、使い道の分かる物と分からない物を分けられれば十分です。

おわりに
ケーブルや部品が引き出しに溜まっていくのは、片付けが苦手だからではなく、それが何のための物か分からなくなっているからかもしれません。
何のための物か思い出せないなら、無理に記憶をたどらなくていい。「今、何につながるか」を一本だけ見る。分からなければ、今日は捨てずに分けるだけでいいのだと思います。
少なくとも私にとっては、「今、何につながるか」で見ることで、使い道が分かる物と、分からない物を分けやすくなりました。分からない物まで、その場で無理に捨てなくていい。そう決めたことで、一本ずつ見直しやすくなったと思います。
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