人の気持ちばかり見て、自分の気持ちが分からない人へ。「分からない」も答えでいい

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「今日はどうだった?」

そう聞かれて、言葉に詰まったことがある。

疲れてはいる。何かあった気もする。でも、自分がどう感じていたのかを思い出そうとすると、何も出てこない。

一日中ずっと、人の様子を気にしていたはずなのに。——そんな人に向けて書きます。

先に結論を言うと、それはあなたが鈍いからでも、感情が乏しいからでもないのかもしれません。人の表情や反応を考える時間が長い日は、自分がどう感じていたかを言葉にしないまま終わることがあるのだと思います。

勤務中は、人の様子を考える時間が長い

介護の仕事では、相手の表情や反応から、今どんな状態なのかを考える場面が多くあります。

言葉が出にくい方の表情を見て、いつもと違うところはないか考える。家族の言い方から、何を不安に感じているのかを探る。同僚の様子を見て、今声をかけても大丈夫かを判断する。

これを、勤務のあいだずっと続けています。

そのあいだ、自分がどう感じているかを見る時間は、ほとんどありません。

目の前の利用者さんに、自分の苛立ちや落ち込みをそのままぶつけないことは必要です。気持ちをいったん横に置いて、目の前の対応へ集中できるのは、仕事の中で身につけてきた力でもあると思います。

ただ、体調不良まで黙って抱える必要がある、という話ではありません。気持ちを仕事中に横へ置くことと、自分の体調を無視することは、別にしておきたいと思います。

気にする相手が、一人ではない

介護の仕事でしんどいのは、気にする相手が一人ではないところだと思います。

利用者さんの様子を見て、家族の反応を気にして、同僚や他職種とのやり取りにも気を配る。相手が変わるたびに、見るところも変わります。

一日のうちに何度も切り替えていると、そのぶん自分のことを考える隙間は減ります。誰かのことを考えていない時間のほうが、少ないくらいです。

これは、気配りが上手いとか、優しいという話ではなくて、仕事の形としてそうなっているのだと思います。

後回しにするのが、だんだん上手になっていく

最初のうちは、「今しんどいな」と思いながら、それでも我慢していたはずです。

でも、それを続けているうちに、我慢しているという自覚すらなくなっていきます。しんどいと思う前に、意識が次にやることへ移っている。気づいたら一日が終わっている。

後回しにするのが、上手になっていくんです。

上手になること自体は、悪いことではないと思います。ただ、その状態が長く続くと、自分がどう感じていたかが分かりにくくなることがあります。

家に帰ってから、今日の出来事を思い出しても、嫌だったのか、悲しかったのか、それほど気にしていないのか、自分でもよく分からない。人の表情や反応には気づいていたのに、自分の気持ちだけ言葉にならないまま、一日が終わることがあります。

帰宅した直後のリビング。ソファに置かれた通勤バッグと脱いだ上着、夕方の柔らかい光

私の場合、あとから体の変化で振り返ります

私の場合、自分が張りつめていたことを、あとから体の変化で振り返ることがあります。

頭が重くなってから、「今日はずっと気を張っていたのかもしれない」と思う。夜になっても仕事の場面を思い出して、「あのやり取りが引っかかっていたのか」と気づく。

体の変化が、すべて気持ちから来ているとは限りません。ただ、その日の自分がどんな状態だったかを、あとから考えるきっかけになることはあります。

その場では分からなくても、あとから気づくことがある

仕事中には何も感じていないと思っていても、家に帰ってから「あの言い方は嫌だったのかもしれない」と気づくことがあります。

その日のうちには、最後まで言葉にならないこともあります。

だからといって、無理に原因を探す必要はありません。今日は「何となく引っかかった」「よく分からなかった」と確認できれば、それで十分だと思います。

自分の気持ちに一言つけるのは、何かを解決するためではなく、今日の状態を一度確かめるためです。

確かめた気持ちを、変えようとしなくていい

ここで大事なのは、確かめた気持ちを変えようとしないことだと思います。

「疲れている」と分かったら、ちゃんと休まなきゃと思う。「イライラしている」と分かったら、直さなきゃと思う。それだと、確かめるたびに、やることが一つ増えてしまいます。

そうなると、結局また見ないほうが楽になってしまいます。

確かめるだけでいいと思います。

「今日はしんどかったな」と思うだけで、その日の自分の状態は、一度言葉になります。何も解決しなくても、自分が感じていたことを、自分が知っている。まずはそれで十分だと思います。

夜の部屋。天井の明かりを消し、間接照明だけが灯る静かなテーブルまわり

夜勤明けは、特に分かりにくくなる

夜勤明けは、特に分かりにくい日があります。

勤務中は気を張っていたはずなのに、終わったあとには、しんどかったのか、ほっとしたのか、自分でもよく分からない。何かが引っかかっている気はするけれど、言葉にはならないこともあります。

そんな日は、無理に答えを探さなくて大丈夫です。

「今日はよく分からない」と一言つけられたなら、それで終わってよいと思います。分からないと気づくことも、今日の状態を一度確かめたことになります。

今日できる、小さな一歩

もし何か一つだけ試すなら、今日の自分の状態を、一言だけ確かめてみてください。

「疲れた」でも「もやもやした」でも「まあまあだった」でもいいです。正確でなくて構いませんし、日記に書く必要もありません。布団に入ってから、頭の中で一言つぶやくだけで十分です。

毎日続ける必要もありません。何となく引っかかる日や、思い出した日だけで十分だと思います。

眠る前の寝室。ベッドサイドの小さな明かりと、整えられた枕元

おわりに

人の様子をよく見ている人ほど、自分がどう感じていたかを、後回しにしているのかもしれません。

それは仕事の中では必要な力で、悪いことではないと思います。ただ、その状態が長く続くと、自分の状態を確かめる機会そのものが、減っていきます。

毎日続けなくても構いません。何となく引っかかる日や、思い出した日に、今日の状態を一言だけ確かめてみる。変えなくていいし、解決しなくていい。「疲れた」「もやもやした」「よく分からない」のどれか一つで終えてよいと思います。


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