「それ、変える必要ある?」と言われた人へ。気になることと、変えることは別

整える暮らしシリーズのメンタル系アイキャッチ画像 整える暮らし

物の置き場所を少し変えたい、と提案したことがある。

使う頻度の割に取り出しにくい場所にあって、毎回少しだけ手間がかかっていた。変えたほうが早いと思って、言ってみた。

返ってきたのは、「それ、変える必要ある?」だった。

——そんな経験がある人に向けて書きます。

先に結論を言うと、自分が気になったこと自体まで、間違いだったことにしなくていいと思います。ただ、自分にとって気になることと、職場全体で変える必要があることは、同じではありません。

気になっていたのが、自分だけだった

職場で気になることは、だいたい細かいところから始まります。

物の位置。書類の様式の一部。手順のうちの一つ。どれも、それ単体で見れば大した話ではありません。毎回ほんの少し手間がかかるとか、ほんの少し分かりにくいとか、そういう程度のことです。

でも、毎日やることだと、その少しが積み重なります。だから「変えたほうがいいのでは」と思う。

そこで言葉にしてみると、周りの反応が薄いことがあります。「別に今のままで良くない?」と言われて、初めて気づく。気になっていたのは自分だけだったのだと。

道具や書類のファイルが並んだ作業台の一角。置き方に統一感がなく、少し使いにくそうな様子

「変える必要ある?」には、いくつかの理由が混ざっている

そう言われると、自分の感覚がおかしいのかと思うことがあります。

ただ、「変える必要ある?」という言葉が、気づいたことそのものを否定しているとは限りません。

相手は今の場所で困っていないのかもしれない。変えたあとの便利さより、全員が覚え直す手間のほうが大きく見えているのかもしれない。単純に、今は別のことを優先したい場合もあります。

介護の職場は、日勤も夜勤も、早出も遅出も、違う人が同じ物を使って回しています。物の位置が変われば、全員が新しい場所を覚え直すことになる。書類の様式が変われば、慣れるまでのあいだ、みんなが少し戸惑います。

提案した人には、毎日の小さな手間が見えている。気になっていない人には、変更によって増える手間のほうが見えている。

どちらかが意地悪なのではなく、見えている負担が違っているのだと思います。

複数の人が使う共用の棚。同じ物が並び、いろんな人が出し入れしている様子

自分だけが気になっている状態は、少ししんどい

とはいえ、自分には毎回引っかかるのに、周りにはそれほど困っているように見えない。この差が続くと、少ししんどくなることがあります。

口にすれば「細かいと思われるかもしれない」と考える。黙っていれば、自分だけが毎回その手間に触れることになる。

そのうち、気になっても言わないほうを選ぶことがあります。

言わなくなったからといって、気にならなくなったわけではありません。ただ、今は共有しないほうを選んでいるだけです。

気になったことは、変更を考える材料の一つ

ここが、この記事で一番書きたいところです。

「ここが使いにくい」と感じたことは、変更を考える材料の一つです。

でも、それだけで職場全体の判断が決まるわけではありません。そこに、他の人も困っているか、変えたあとの負担はどのくらいか、今それを変える必要があるか、といった別の材料が加わって、初めて全体の判断になります。

自分が気になったことまで否定しなくていい。同時に、気になったから必ず変えるべきだと決めなくてもいい。

この二つは、どちらも同時に成り立ちます。

「自分が正しくて、周りが分かっていない」でもなく、「自分の感覚がおかしかった」でもない。ただ、材料の一つとしては合っていたけれど、全体の判断としては今回は通らなかった。それだけのことだと思います。

家なら、小さく試して戻すことができる

職場で何かを変えるには、周りとの共有が必要です。

一方で、家の中には、自分だけで小さく試せることもあります。使いにくい場所にある物を一つ動かしてみる。合わなければ、元に戻す。

職場を諦める代わりに家でやりましょう、という話ではありません。ただ、気になったことをすべて抱えたままにせず、自分だけで決められる場所では試してみる、という選択肢もあると思います。

家の中の小さな変更は、たいていお金もかかりません。

自宅の棚の一角。よく使う物が手前に出ていて、自分で決めた配置に整えられている様子

一度通らなかったことが、ずっと不要とは限らない

一度は「変える必要はない」と言われたことでも、人や状況が変わると、必要性が変わる場合があります。

以前は困る人が少なかった。別の業務が優先されていた。変更するきっかけがなかった。その条件が変われば、同じ提案への反応が変わることもあります。

だからといって、言い続ける必要はありません。

一度断られたことを、永久に決まった答えとして抱えなくてもいい。状況が変わったときに、思い出したらもう一度考える。そのくらいでよいと思います。

今日できる、小さな一歩

もし何か一つだけ試すなら、気になっていることを思い出したときに、「自分には気になる。でも、職場全体で変える必要があるかは別」と分けてみてください。

紙に書く必要はありません。提案をもう一度考える必要もありません。

自分の感覚を間違いにせず、同時に、周りが間違っているとも決めない。今日は、二つを分けられれば十分です。

おわりに

「それ、変える必要ある?」と言われると、自分の感覚まで否定されたように感じることがあります。

でも、自分が気になったことと、職場全体で変える必要があるかどうかは、別の話です。

自分には気になる。周りには、今のままでも困らない。変更するには、全員が覚え直す負担もある。

その違いがあっただけで、自分か相手のどちらかを間違いにしなくていいのだと思います。

一度通らなかった提案を、すぐに言い直す必要もありません。今日はただ、「自分には気になった」と認めるところで終わっても構いません。


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