定位置を決めても片づかない人へ。疲れていても戻せる仕組みを作る

整える暮らしシリーズの片付け系アイキャッチ画像 整える暮らし

定位置を決めただけでは、片づけは続かない

仕事から疲れて帰ってきた日は、鍵も財布も書類も、とりあえず近くに置いてしまうことがあります。その場では楽です。でも翌朝になって、「あれ、どこに置いたっけ」と探すことになる。

前回の第10話では、物を捨てる前に「戻す場所」を決めることについて書きました。物の住所が決まっていないと、片づけは毎回その場しのぎになるので、まずは定位置を決める。これはとても大事です。

ただ、実際に暮らしていると、次の壁が出てきます。「戻す場所は決めたのに、なぜか続かない」。第10話が「物の住所を決める話」だとしたら、今回は「その住所に無理なく戻れる道を作る話」です。

鍵は玄関のトレーに置くと決めた。書類は棚に戻すと決めた。服はハンガーにかけると決めた。それでも、疲れて帰ってきた日は机の上に置いてしまう。洗濯物は畳まずに山になる。郵便物はとりあえず棚の端に積まれていく。

意志の問題だと決めつける前に、「戻す場所」ではなく「戻しにくさ」を見直してみた方がいいと思います。

片づけが続かない原因は、手間が多すぎること

玄関で鍵や財布を戻しやすくまとめた小さなトレー
▲ 玄関に戻す場所を作ると、疲れて帰った日でも迷いが減ります。

片づけが続かない時は、自分を責める前に、戻すまでの手間を見直した方がいいです。たとえば鍵を戻すために、棚の扉を開けて、小さな箱を引き出して、その中の仕切りに入れる。これが休日の昼ならできても、仕事終わりで疲れている時に毎回できるかというと、かなり厳しいです。片づけの仕組みは、元気な時の自分ではなく、疲れている時の自分を基準に作る必要があります。

介護の仕事をしていると、この感覚はよく分かります。現場でも、物品の置き場所がきれいに決まっていても、取り出しにくかったり戻す場所が細かすぎたりすると、忙しい時間帯には崩れます。手袋、パッド、記録用紙、消耗品は、使う場所の近くにあり、誰が見てもすぐ分かる状態でないと続きません。家庭の片づけも同じで、「正しく戻せるか」よりも「疲れていても戻せるか」を基準にした方が、暮らしは整いやすくなります。

収納は細かくしすぎない

片づけようと思うと、つい細かく分類したくなります。文房具はペン、はさみ、付箋、クリップで分ける。書類は種類ごとにファイルを分ける。ケーブルも用途ごとに分ける。もちろん、細かい分類が合う人もいます。でも、片づけが続かない人にとっては、分類が細かすぎること自体が負担になります。

おすすめは、最初は「ざっくり収納」にすることです。毎日使う小物は「毎日ボックス」に、外出時に使うものは「外出ボックス」に、まだ判断できない書類は「一時保管」にまとめる。完璧に分けなくていいです。大事なのは、物が床や机に散らばらず、戻る先があることです。

具体例として、玄関なら鍵、財布、腕時計、イヤホンなど、外出前後に使うものを小さなトレーにまとめ、帰宅したらポケットの中身を全部そこに出します。探す場面を減らしやすくなります。ポイントは、きれいに並べることではなく、帰ってきた瞬間に何も考えず置けることです。

戻す場所は、使う場所の近くに置く

疲れて帰っても戻しやすいシンプルな収納ボックス
▲ きれいに分けるより、自然に戻る場所を作ることを優先します。

定位置を決めても続かない時は、置き場所が遠すぎることがあります。人は、使った場所から遠いところには戻しにくいです。たとえば、爪切りをリビングで使うことが多いのに、洗面所の引き出しを定位置にしているとします。理屈では洗面所に戻せますが、実際にはリビングの机の上に置きっぱなしになりやすいです。この場合は、爪切りの定位置を「リビングの小物ボックス」に変えた方がいいかもしれません。片づけは、理想の場所に戻すことではなく、実際に戻せる場所に置くことが大事です。

もう一つの具体例は、洗濯物です。下着や靴下を毎回きれいに畳んで、種類ごとに仕切って収納する。これができるなら、それで問題ありません。でも、忙しい日や夜勤明けにそれが負担になるなら、靴下は靴下のカゴへ、下着は下着のカゴへ、部屋着は部屋着の場所へと、同じ種類のものをカゴに入れるだけでも十分です。見た目の美しさより、毎回戻せることを優先する。それだけで、床や椅子に洗濯物が積み上がるのを防ぎやすくなります。

「一時置き場」は悪ではない

片づけが苦手な人ほど、「一時置き場」を作ると散らかると思いがちです。でも、一時置き場がないと、判断待ちの物が別々の場所に置かれやすくなります。すぐに判断できない物も、とりあえずどこかに置くことになります。郵便物、レシート、あとで見る書類、使うか迷っている小物。これらを毎回すぐに判断するのは、かなり疲れます。だからこそ、「判断待ち」の場所を作っておくと楽になります。

ただし、一時置き場にはルールが必要です。おすすめは、一時置き場を一つだけにすることです。たとえばA4サイズの浅いトレーを一つ用意して、判断できない紙類はそこに入れ、いっぱいになったら見直す、週1回だけ確認する。これくらいで十分です。一時置き場を作る目的は、物を放置することではなく、判断を後回しにしても散らかりにくい形にすることです。

収納用品を買い足す前に、家にある物で試す

暮らしを整える時、つい「ちゃんと片づけよう」と考えてしまいます。でも、見た目が少し雑でも、物が自然に戻る仕組みの方が強いです。特に、仕事で疲れやすい人、夜勤がある人、家に帰ると何もしたくない人は、片づけに気合いを求めすぎない方がいい。疲れている自分でもできる形にしておくのは、甘えではなく、暮らしを回すための設計です。

収入に余裕がない中で暮らしを整えるなら、最初から収納用品を買い足さなくてもいいと思っています。まずは家にある箱、空いているトレー、使っていないカゴで試してみる。それで戻しやすくなるなら、十分です。お金をかける前に、戻す手間を減らす。その方が、自分には続けやすいと感じています。

今日できる小さな一歩

今日やることは、一つだけで大丈夫です。家の中で、よく置きっぱなしになる物を一つ選んでください。鍵、財布、郵便物、リモコン、洗濯物、充電ケーブル。何でもいいです。そして、その物について次の一つだけを考えます。

「これは、どこなら疲れていても戻せるか」

理想の収納場所ではなく、実際に戻せる場所を選んでください。必要なら、箱でもトレーでもカゴでも大丈夫です。最初から完璧に分類しなくていいです。まずは、一つの物が戻りやすい場所を作ってみてください。

定位置を決めた次に必要なのは、きれいに収納することではありません。疲れていても戻せるように、暮らしの動線を少しだけ整えることです。


整える暮らしシリーズを続けて読む

この記事は、こたログの「整える暮らし」シリーズの1本です。限られた収入と時間の中で、物・お金・心の管理コストを減らし、自分が回せる暮らしを作る工夫を書いています。

整える暮らしシリーズの記事一覧はこちら


関連記事

もう少し暮らしを整えたい人は、次の記事も読むと向き合いやすくなります。


悩み別まとめページ

この記事に近い悩みから、関連記事をまとめて読めるページも用意しています。

次に読む

平日休みに用事を詰め込んでしまう人へ
動かしにくい用事から、先に置けばいいという話です。
→ 平日休みに用事を詰め込んでしまう人へ。動かしにくい用事から、先に置けばいい

コメント

タイトルとURLをコピーしました