見える場所に置かないと、忘れてしまう人へ。全部しまうのが正解とは限らない

整える暮らしシリーズの片付け系アイキャッチ画像 整える暮らし

買ってきたものが、すでに家にあった。

棚の奥から、同じものが出てくる。買ったこと自体は覚えているのに、どこにしまったかを思い出せなかった。

——そんな経験がある人に向けて書きます。

先に結論を言うと、それは物覚えが悪いからではないのかもしれません。見えないところにしまった物は、存在ごと忘れやすいのだと思います。

隠す収納が、いつも正解とは限らない

片付けの話では、「出しっぱなしにしない」「扉の中にしまう」がよく正解として出てきます。

たしかに、物が見えていないほうが部屋はすっきりして見えます。写真で見る部屋も、たいてい生活感のある物が視界から消えています。

ただ、しまうことには、もう一つの側面があります。

人によっては、見えない場所へしまうと、その物があることまで思い出しにくくなることがあります。しまった直後はすっきりしても、次に必要になったとき、どこへ置いたか分からなくなる。

忘れてしまうと、あとで困ることがある

思い出せないと、いくつか困ることが起きます。

同じものをもう一度買ってしまう。使わないまま期限が切れる。探す時間が増える。使いたいときに見つからなくて、結局代わりのもので済ませる。

どれも、物が足りないから起きたのではありません。持っているのに、その存在を思い出せなかったから起きています。

片付けは、本来なら暮らしを楽にするためのものです。それなのに、しまい方によっては、探す手間や買い直す出費が増えることもあります。

日用品のストックは、見えなくなると忘れやすい

たとえば、詰め替え用の洗剤を安いときに買い、洗面台の下の奥へしまうことがあります。

次に安売りを見かけたとき、家にあることを思い出せず、もう一つ買ってしまう。あとから棚の奥を見て、同じ物が二つ、三つと出てくることもあります。

ストックを持つこと自体が悪いわけではありません。ただ、奥へしまったことで、今いくつ持っているのかが分かりにくくなっていたのかもしれません。

売り場で「これ、家にまだあったかな」と考えて、分からないまま買う。あるいは、あるかもしれないと思って買わずに帰り、実は切らしていた。

どちらも、家の在庫が頭の中にないから起きています。スマホにメモを残す方法もありますが、そのメモを取ること自体を忘れることもあります。棚を見れば分かる状態にしておくほうが、覚えておく手間が要りません。

洗面台の下の収納。奥から同じ日用品のストックが複数出てきた様子

全部を見せる、という話ではない

とはいえ、なんでも出しっぱなしにすればいい、という話ではありません。

全部が見えていると、今度は視界の情報が増えて落ち着かなくなります。掃除のたびに物をどかす手間も増えます。

大事なのは、隠すか見せるかを、部屋の見た目だけで決めないことだと思います。

扉を開けた収納の内部。手前は見えるが、奥に行くほど何があるか分かりにくい様子

見えなくなると困る物だけ、手前に置く

すべての物を、見える場所へ出す必要はありません。

分けるときは、まず「見えなくなると、この物があることを忘れて困るか」を考えてみます。

毎日のように使う物は、探さず取れる場所にあるほうが楽です。使う回数が少なくても、洗剤などのストックは、今いくつあるか分かるほうが買い過ぎを防ぎやすくなります。

一方で、使う場面と保管場所が結びついていて、必要なときに思い出せる物は、しまっておいても困らないかもしれません。

たとえば、掃除用の洗剤は洗面所にあると分かっていれば、扉の中でも思い出せます。逆に、乾電池や絆創膏のように、置き場所が決まっていない物ほど、見えないと探すことになります。

見えるか、しまうかを、使う回数だけで決めなくていいのだと思います。

なお、見えるようにするために、新しい棚や透明なケースを買う必要はありません。今ある棚の奥から手前へ移すだけでも、存在は思い出しやすくなります。

一人暮らしだと、思い出せる人が自分しかいない

誰かと住んでいれば、「あれ、まだあったよ」と教えてもらえることがあります。

一人暮らしだと、家に何があるかを知っているのは自分だけです。自分が思い出せなければ、その物は無かったことになってしまう。

覚えておく力に頼るより、見れば分かる状態にしておくほうが確実なのだと思います。忘れないように気をつけるのは、疲れている日ほど難しくなります。

疲れた日ほど、探す余力がない

夜勤明けや連勤中など、疲れて帰った日は、探すこと自体を面倒に感じることがあります。

扉を開けて、中を見て、なかったら別の場所を開ける。元気な日なら何でもない動作でも、疲れている日には、それだけで後回しにしてしまう。

見える場所や、一度開ければ分かる場所に置いておくと、探す回数を減らしやすくなります。

きれいに隠れていることと、疲れた日でも迷わず使えることは、同じではないのだと思います。

今日できる、小さな一歩

もし何か一つだけ試すなら、見えない場所へしまったあと、持っていることを忘れた物を一つ思い出してみてください。

詰め替え用の洗剤や、予備の電池などで構いません。新しい収納用品を買う必要はありません。棚の奥にあるなら、手前へ移すだけでも十分です。

邪魔になったり、見えているほうが落ち着かなかったりしたら、元へ戻して構いません。今日は、一つだけ確認しやすい場所へ動かしてみる。それで終わりです。

よく使う物が手前に並んだ棚。一目で何がいくつあるか分かる状態

おわりに

しまうことは、片付けの正解のように見えることがあります。

でも、見えなくなったことで持っていることまで忘れるなら、その物だけは別の置き方が合うのかもしれません。

すべてを出しておく必要はありません。見えなくなると困る物だけ、棚の手前など、確認しやすい場所へ置いてみる。

片付けは、生活感をすべて隠すためではなく、自分が探さず使える状態を作るためのものだと思います。


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