スマホの画面に、クレジットの利用額が出ていました。桁を一つずつ確かめるように、数字を目で追っていきました。
最初に浮かんだのは、「うわぁ…仕方ないとは言え結構な額になったなぁ」という一言でした。
マネーフォワードには、いま持っているクレジットカードと銀行口座をつないであります。指で画面をスクロールすると、銀行口座の振込額の一覧が出てきて、その中に、数十万の振り込みもありました。
引っ越しの前でした。賃貸契約と家具家電の購入のあとに、数万円単位の買い物が続いていました。賃貸契約の初期費用、引っ越しの費用、必要な家具家電。新生活に向けて、かなりのお金を使っていたのです。
新生活のための特別費だと、頭では分かっていても、画面の上にその数字が並ぶと、胸のあたりが重くなって、苦しくなりました。スマホを持つ手にも、力が入っていました。

使った金額のあとに、先の分まで考え始めた
生活環境が変わって、これから生活費がどうなるのか、分からない状態でした。足りない日用品に、電気、ガス、ネットなどの生活インフラ。その他の細かい費用。どれも、これから必要になって、積み重なっていくと考えました。考え始めると、きりがありませんでした。
初期費用とは別に、毎月の家賃は、これからずっと出ていきます。しっかり払えるのか、とも考えました。場合によっては、車や今の家電の故障、修理の費用も重なるかもしれません。
頭の中で、貯金のことを思い浮かべました。
「貯金はある程度してるけど、これで足りるのかな」

引き落としの前に、金額を出してみた
引き落としの予定日が近づいたころ、もう一度、スマホでマネーフォワードを開きました。今度は、洗い出すためです。
マネーフォワードで、これからの生活費がどのくらいになるのか、一つずつ確認していきました。
手が止まったのは、いちばん大きな支出だった、賃貸契約の初期費用の振込額でした。次に家具と家電の購入費。
その二つを外して、日常生活費だけの合計額を見ました。固定費と、変動費。それを、自分の収入と見比べたのです。
引っ越しに関係する費用などの特別費を除いて、普段の生活費を洗い出してみると、収入の7割ほどで生活できていることが分かりました。
しっかり金額を出してみると、不安は軽くなりました。頭に浮かんだのは、「今回の支出は特別費で、生活費が上がった訳じゃないから大丈夫。前よりも家賃は上がったけど、今の自分の家計だと崩れない」でした。画面の数字を見ながら、小さく息をつきました。手の力が、少し抜けた気がしました。
こうして不安になったのは、特別費が重なった引っ越しの時期だけでした。普段の月は、収入の範囲内で生活できていることを数字で確認できています。
振り返ると、あの時に不安だったのは、これから必要になる生活費がどのくらいなのか分からなかったからでした。

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