地震のニュースを見ると、家の備えが気になることがあります。
水はあっただろうか。停電したときの灯りはあっただろうか。
考え始めると、足りないものが次々に浮かんで、結局どこから始めればいいのか分からなくなる。
——備えなければと思いながら、手が止まっている人に向けて書きます。
先に結論を言うと、全部そろえようとするから始まらないのだと思います。今ある物を見て、抜けているものを一つ確認する。今日はそれで十分だと思います。
防災用として用意したのは、水と食料くらい
正直に書くと、防災のためにと意識して買ったのは、これだけです。
- 2リットルの水が1ケース
- 保存食が少し
非常持ち出し袋は作っていません。ラジオも買っていません。
「備えていますか」と聞かれたら、「一応」としか答えられない状態です。
たぶん、これを読んでいる人の多くも、似たような感じではないでしょうか。何もないわけではないけれど、そろってはいない。
そして、そろっていないと分かっているのに、手をつけられない。

「全部そろえる」を目標にすると、いつまでも始まらない
防災用品の一覧を見ると、必要なものがずらりと並んでいます。
水、食料、ライト、ラジオ、モバイルバッテリー、災害用トイレ、衛生用品、常備薬、現金、身分証のコピー。
見ていると、どれも必要に見えます。そして、全部そろえるのは一日ではできないと分かります。
ただ、この一覧には目的の違うものが一緒に載っています。
- 家に置いておく備蓄
- 避難するときに持ち出すもの
- 外出先や職場から、すぐに帰れないときのためのもの
これを一度に完成させようとすれば、必要なものが多く見えるのも当然だと思います。
なので、どの場面の備えを見るかを、先に一つ決めます。この記事では、まず家に置く備蓄から見ていきます。
足りていないものを、一つずつ確認する
そろえるのではなく、足りていないものを一つ見つけるほうが動きやすいと思います。
防災用品を全部いっぺんに見ないために、この記事では、まず次の四つから確認します。
- 水
- 食料
- トイレ
- 明かりと電源
これは公式に決まった優先順位ではありませんし、「これだけあれば十分」という一覧でもありません。常用薬や眼鏡のように、その人に欠かせないものは別に考えます。
ただ、防災用品を全部いっぺんに見るかわりに、まずこの四つから抜けているものを探す。それならできます。
私の場合、水と少しの食料はありました。ランタンと電池もあります。
そこで初めて、トイレの備えがないことに気づきました。

抜けていたのは、トイレだった
家庭で備えやすい災害用トイレの一つに、携帯トイレがあります。既存の洋式便器に処理袋をかぶせ、排泄物を凝固剤や吸水シートなどで処理するタイプです。自治体や商品によっては「簡易トイレ」と案内されることもあります。
水と食料は、なんとなく思い浮かびます。買い物のついでに足せます。でも携帯トイレは、買い物リストに乗ってきませんでした。
調べてみて、順番を間違えていたかもしれないと思いました。
災害のあとには、断水だけでなく、排水管や下水道の破損によって水洗トイレを使えないことがあります。
水が出ていても、排水設備の安全が確認できるまでは流さず、集合住宅なら管理会社や管理組合、地域では自治体などの案内を確認します。
つまり、水があれば流せる、とは限りません。飲み水とは別に生活用水を用意していても、排水のほうに問題があれば同じことです。
だから、水を使わない携帯トイレを別に備えておく、という考え方があります。
水や食料に比べると、普段の買い物では思い出しにくいものでした。私の家では、ここが抜けていました。
必要な数は、人数と何日分を想定するかで変わります。まず住んでいる自治体の防災ページを確認し、商品の説明では一箱に何回分入っているか、どう使うかを確かめます。
また、使ったあとの処理袋の保管場所や、ごみとして出せる時期も自治体の案内に従います。買って置いておくだけでなく、使ったあとまでが備えなのだと思いました。
私はまだ買っていませんが、次に確認するのは携帯トイレだと決めました。
防災用に買った物でなくても、役割が合えば使える
もう一つ、気づいたことがあります。
防災用品として買った物でなくても、すでに家にある物が備えの一部になっていることがあります。
台所のカセットコンロ。普段使っている懐中電灯。冬に使っているカイロ。
私はソロキャンプをするので、ランタン、カセットコンロ、寝袋も持っています。どれも防災用に買った物ではありません。
それでも、灯りと、お湯を沸かす手段と、寒さをしのぐものという役割は、一部埋まっていることになります。
新しく買う前に、家にある物がどの役割を持っているかを見る。
そのうえで、使える状態かどうかも確かめます。電池は残っているか、燃料はあるか。しまいこんだまま何年も経っていないか。
何も持っていないところだけ、次に足せばいいのだと思います。

家の備えを見たあと、職場も一つ確認する
ここまでは、家に置く備蓄の話でした。
ただ、私は家の備えを考えるとき、家にいる自分ばかり想像していました。
介護の仕事はシフト勤務なので、家にいない時間もかなりあります。夜勤の日は、一晩まるごと家を空けます。
勤務中に交通機関が止まったり、職場の対応ですぐに帰れなかったりすれば、家にある水や食料はその場では使えません。
大規模な地震で交通機関が止まったときは、建物や周辺の安全が確認できる場合、むやみに帰宅を始めず、安全な場所で待機することが基本とされています。
そして一人暮らしなので、家にある物を代わりに持ってきてくれる人もいません。
とはいえ、職場の分まで自分で全部そろえる必要はないと思います。まず確認するのは、このあたりだと思いました。
- 災害のとき、職場にとどまる決まりがあるか
- 職場にはどんな備蓄があるか
- 自分で用意しておく必要があるものは何か
私の職場にも防災の計画と備蓄はあります。ただ、何がどこまで用意されているかを、これまで詳しく確認したことはありませんでした。
常用薬などは、種類によって持ち歩き方や保管の条件が変わるので、別に考えます。
家の備えとは別に、職場の備えを一つ確認しておく。 それだけでも、だいぶ違うと思いました。
今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、水・食料・トイレ・明かりと電源のうち、家に無いものを一つだけ確認してみてください。
今日は買わなくても構いません。
無かったものを、スマホの買い物メモに一つ書いておく。すでにあるなら、使える状態かを見る。
私の場合は、携帯トイレがありませんでした。
次に足す物が一つ分かれば、今日はそこまでで十分です。
おわりに
備えが進まないのは、危機感が足りないからとは限らないと思います。
家に置くもの。避難するときに持つもの。職場や外出先で必要になるもの。
すべてを一度に完成させようとすると、どこから始めればいいのか分からなくなります。
まずは、今の家にある物を見る。足りないものを一つ確認する。今日買えなければ、買い物メモに入れておく。
一度でそろえ終える必要はありません。次に足す物が一つ分かっていれば、備えはそこから続けられるのだと思います。
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