「これ、お願いできる?」と言われて、内容や期限を確かめる前に「はい、やります」と答えている。
そのあとで予定を見返して、今日はもう余裕がなかったな、と気づく。
——そんなことが続いている人に向けて書きます。
先に結論を言うと、即答すること自体は悪くないと思います。ただ、返事の種類が一つしかないのかもしれません。
「やります」だけだと、全部が自分に乗る
頼まれた瞬間に口から出るのが「やります」だけだと、内容にかかわらず引き受けることになります。
急ぎのことも、急ぎでないことも。自分の担当も、そうでないものも。全部が同じ返事になります。
一つひとつは小さくても、積み重なれば自分の時間が埋まります。
これは、断る力が弱いからではないと思います。そもそも「やります」以外の返し方が、その場に浮かんでいないのだと思います。

返事は三つある
その場で使える返事は、だいたい三つに分かれます。
- ① 自分が引き受ける
- ② 担当を確認し、必要ならほかの人につなぐ
- ③ 予定を確認してから返事する
しんどくなりやすいのは、①しか持っていない状態です。
②と③があると知っているだけで、同じように即答しても、中身が変わります。「やります」と言うのは、①を選んだときだけになります。
③は、断ることとは違います。ただ、保留するときは返事の目安まで伝えたほうが実用的です。
- 「今の予定を確認して、10分後に返事します」
- 「今日中にできるか、昼までに確認します」
先延ばしにするのではなく、確認してから答えるための保留です。

私の場合は、二つだけ確かめている
私は経験年数が増えてきて、スタッフをまとめる場面も出てくるようになりました。そのぶん、頼まれることも増えました。
頼まれたとき、頭の中で確かめているのは二つだけです。
- 今すぐ必要なことか
- 自分でなければできないことか
両方にあてはまるなら、その場で引き受けます。ここは即答です。考え込んでいるあいだに、その仕事は止まってしまうからです。
今すぐ必要でも、ほかの人が対応できることなら、誰が動くのがよいかを確認します。
自分がやる仕事でも、今すぐでなければ、予定を見てから返事をします。
二つの質問は、心構えではなく、三つの返事のどれを選ぶかを分けるためのものです。
これは「人に押しつけていい」という話ではない
ここだけは、はっきり書いておきたいと思います。
②を「頼まれたことを人に渡していい」という意味にすると、この考え方は成り立ちません。まわりの負担が増えるだけです。
判断を、自分の「やりたい・やりたくない」だけで決める話ではありません。
見るのは、その仕事です。
- 今すぐ必要か
- 誰の担当か
- 自分が引き受けても、今持っている仕事が滞らないか
- ほかの人が対応するなら、必要な情報を渡せるか
自分の今の業務量を見ることも、仕事を止めないための確認に入ります。
余裕がない状態で新しい仕事を足せば、元から持っていた仕事が遅れます。優先順位が崩れ、確認や記録が抜けることもあります。自分の手がふさがっているかどうかは、自己都合ではなく、仕事側の問題でもあります。
そして、②は自分の判断だけで誰かに渡すことではありません。担当を決められる立場でないなら、頼んだ人や責任者に確認します。
減らすことが目的ではなく、必要なところに手が回るようにするための分け方です。
立場が違っても、三つは同じように使える
「担当を確認してつなぐ」と言われても、自分で決められる立場ではない、という人もいると思います。
その場合は、ほかの人へ直接回す必要はありません。頼んだ側へ確認するだけで十分です。
- 「今、先に頼まれていることがあります。こちらを先にした方がいいですか」
- 「これは私が担当する仕事でしょうか」
優先順位や担当は、頼んだ側のほうが分かっていることもあります。
決める権限がないなら、自分で振り分けず、決められる人へ返す。それも②の使い方です。
もう「やります」と言ってしまったときは
返事をした後で、今日は無理だったと気づくこともあると思います。
そのときは、抱えたまま黙っているより、気づいた時点で伝えたほうがいいと思います。
- 「さっきお受けした件ですが、今日中は難しそうです。明日でも大丈夫ですか」
- 「先に頼まれていた分があるので、そちらの後になります」
言い直すのは、引き受けたことを取り消すのとは違います。できる時期を伝え直しているだけです。

早く言うほど、頼んだ側も動かせます。期限の直前になって「できませんでした」と言うより、そのほうが仕事は止まりません。
三つの返事は、返事をする瞬間だけのものではありません。引き受けたあとでも、③に戻ることはできます。
今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、次に頼まれたとき、返事の前に「これは今すぐ必要か」だけ確かめてみてください。
今すぐでなければ、「予定を確認してから返事します」が使えます。
今すぐ必要なら、次に「自分が今やる仕事か」を確かめます。自分がやるべきことなら、これまでどおり引き受ければいいと思います。担当や優先順位が分からなければ、頼んだ人に確認します。
今日は、その一呼吸だけで十分です。
おわりに
頼まれてすぐ引き受けてしまうのは、気が弱いからでも、要領が悪いからでもないと思います。
その場で使える返事が、「やります」しかなかったのかもしれません。
返事は、自分が引き受ける。担当を確認する。予定を見てから答える。この三つがあります。
即答をやめる必要はありません。今すぐ必要で、自分がやるべきことなら、迷わず引き受けていいと思います。
そうでないときだけ、別の返事があることを思い出す。
反射で全部を背負う前に、その仕事に合う返事を一つ選べれば十分だと思います。
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