頼まれると、すぐ「やります」と答えてしまう人へ。返事は一つではない

整える暮らしシリーズ|職場のことを一人で抱えこまない 整える暮らし

「これ、お願いできる?」と言われて、内容や期限を確かめる前に「はい、やります」と答えている。

そのあとで予定を見返して、今日はもう余裕がなかったな、と気づく。

——そんなことが続いている人に向けて書きます。

先に結論を言うと、即答すること自体は悪くないと思います。ただ、返事の種類が一つしかないのかもしれません。

「やります」だけだと、全部が自分に乗る

頼まれた瞬間に口から出るのが「やります」だけだと、内容にかかわらず引き受けることになります。

急ぎのことも、急ぎでないことも。自分の担当も、そうでないものも。全部が同じ返事になります。

一つひとつは小さくても、積み重なれば自分の時間が埋まります。

これは、断る力が弱いからではないと思います。そもそも「やります」以外の返し方が、その場に浮かんでいないのだと思います。

介護施設のスタッフステーションのカウンター。記録用のバインダーが数冊重ねて置かれ、手前に無地の付箋が3枚貼られている。ペン立てと手指消毒のボトル、画面を消したノートパソコン、奥に廊下と手すりが見える

返事は三つある

その場で使える返事は、だいたい三つに分かれます。

  • ① 自分が引き受ける
  • ② 担当を確認し、必要ならほかの人につなぐ
  • ③ 予定を確認してから返事する

しんどくなりやすいのは、①しか持っていない状態です。

②と③があると知っているだけで、同じように即答しても、中身が変わります。「やります」と言うのは、①を選んだときだけになります。

③は、断ることとは違います。ただ、保留するときは返事の目安まで伝えたほうが実用的です。

  • 「今の予定を確認して、10分後に返事します」
  • 「今日中にできるか、昼までに確認します」

先延ばしにするのではなく、確認してから答えるための保留です。

開いたバインダーの上で、ペンを持った手が動きを止めている。まだ何も書かれていない。奥に業務用の壁掛け時計と手指消毒のボトルが見える

私の場合は、二つだけ確かめている

私は経験年数が増えてきて、スタッフをまとめる場面も出てくるようになりました。そのぶん、頼まれることも増えました。

頼まれたとき、頭の中で確かめているのは二つだけです。

  • 今すぐ必要なことか
  • 自分でなければできないことか

両方にあてはまるなら、その場で引き受けます。ここは即答です。考え込んでいるあいだに、その仕事は止まってしまうからです。

今すぐ必要でも、ほかの人が対応できることなら、誰が動くのがよいかを確認します。

自分がやる仕事でも、今すぐでなければ、予定を見てから返事をします。

二つの質問は、心構えではなく、三つの返事のどれを選ぶかを分けるためのものです。

これは「人に押しつけていい」という話ではない

ここだけは、はっきり書いておきたいと思います。

②を「頼まれたことを人に渡していい」という意味にすると、この考え方は成り立ちません。まわりの負担が増えるだけです。

判断を、自分の「やりたい・やりたくない」だけで決める話ではありません。

見るのは、その仕事です。

  • 今すぐ必要か
  • 誰の担当か
  • 自分が引き受けても、今持っている仕事が滞らないか
  • ほかの人が対応するなら、必要な情報を渡せるか

自分の今の業務量を見ることも、仕事を止めないための確認に入ります。

余裕がない状態で新しい仕事を足せば、元から持っていた仕事が遅れます。優先順位が崩れ、確認や記録が抜けることもあります。自分の手がふさがっているかどうかは、自己都合ではなく、仕事側の問題でもあります。

そして、②は自分の判断だけで誰かに渡すことではありません。担当を決められる立場でないなら、頼んだ人や責任者に確認します。

減らすことが目的ではなく、必要なところに手が回るようにするための分け方です。

立場が違っても、三つは同じように使える

「担当を確認してつなぐ」と言われても、自分で決められる立場ではない、という人もいると思います。

その場合は、ほかの人へ直接回す必要はありません。頼んだ側へ確認するだけで十分です。

  • 「今、先に頼まれていることがあります。こちらを先にした方がいいですか」
  • 「これは私が担当する仕事でしょうか」

優先順位や担当は、頼んだ側のほうが分かっていることもあります。

決める権限がないなら、自分で振り分けず、決められる人へ返す。それも②の使い方です。

もう「やります」と言ってしまったときは

返事をした後で、今日は無理だったと気づくこともあると思います。

そのときは、抱えたまま黙っているより、気づいた時点で伝えたほうがいいと思います。

  • 「さっきお受けした件ですが、今日中は難しそうです。明日でも大丈夫ですか」
  • 「先に頼まれていた分があるので、そちらの後になります」

言い直すのは、引き受けたことを取り消すのとは違います。できる時期を伝え直しているだけです。

カウンターの上で、開いた手帳のページを指でたどっている手元。横に職員用のマグカップが置かれ、奥に廊下と記録用のバインダーが並んでいる

早く言うほど、頼んだ側も動かせます。期限の直前になって「できませんでした」と言うより、そのほうが仕事は止まりません。

三つの返事は、返事をする瞬間だけのものではありません。引き受けたあとでも、③に戻ることはできます。

今日できる、小さな一歩

もし何か一つだけ試すなら、次に頼まれたとき、返事の前に「これは今すぐ必要か」だけ確かめてみてください。

今すぐでなければ、「予定を確認してから返事します」が使えます。

今すぐ必要なら、次に「自分が今やる仕事か」を確かめます。自分がやるべきことなら、これまでどおり引き受ければいいと思います。担当や優先順位が分からなければ、頼んだ人に確認します。

今日は、その一呼吸だけで十分です。

おわりに

頼まれてすぐ引き受けてしまうのは、気が弱いからでも、要領が悪いからでもないと思います。

その場で使える返事が、「やります」しかなかったのかもしれません。

返事は、自分が引き受ける。担当を確認する。予定を見てから答える。この三つがあります。

即答をやめる必要はありません。今すぐ必要で、自分がやるべきことなら、迷わず引き受けていいと思います。

そうでないときだけ、別の返事があることを思い出す。

反射で全部を背負う前に、その仕事に合う返事を一つ選べれば十分だと思います。

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