朝、目覚ましが鳴る。出勤まで、あと少し。
お弁当を作るつもりだったのに、そんな時間はどこにもない。結局、出勤の途中でコンビニに寄る。休憩室で、買ったパンを食べる。
「今月、コンビニ代がまたかさんでるな」と、レシートを見て思う。でも、朝から弁当を作る余裕なんて、どこにもない。
——そんなふうに、「お弁当作りが続かない」ことに、うんざりしている人に向けて書きます。
結論を先に言うと、お弁当作りが続かないのは、あなたが不器用だからではありません。朝という、一日でいちばん時間のない時間に、”作る”と”詰める”を両方やろうとしているからかもしれません。

続かないのは、不器用だからではない
まず言っておきたいのは、お弁当作りが続かないのは、あなたが不器用だからでも、料理が下手だからでもない、ということです。
朝は、一日のうちで、いちばん時間に追われる時間帯です。着替えて、身支度をして、出勤する。そこに、献立を考えて、火を使って、詰めて、洗い物をする、という作業をまるごと乗せようとしている。
これは、かなり無理のある組み合わせです。時間のない時間に、いちばん手間のかかる作業を持ってきているのですから、続かなくて当然だと思います。
悪いのは、あなたの器用さではなく、朝というタイミングそのものなのです。
朝は、「作る」にも「詰める」にも、向いていない
私にも、失敗があります。
以前、彩りのいいお弁当に憧れて、何品も作る朝を試したことがあります。最初の数日はできました。でも、一週間もしないうちに、朝起きるのがつらくなり、結局やめて、コンビニ弁当に戻りました。
戻ったこと自体は、悪いことではありません。ただ、そのたびに「また続かなかった」という気持ちが、少しずつ積み重なっていきました。
今振り返ると、私が失敗していたのは、お弁当作りを「一つの作業」だと思っていたことでした。
実際には、お弁当作りには、二つの作業が混ざっています。「何を作るか考えて、調理する」ことと、「できた物を容器に詰める」ことです。
前者は、頭も手も使う、重い作業です。後者は、判断さえ終わっていれば、数分でできる軽い作業です。この二つを、いちばん時間のない朝に、まとめてやろうとしていたから、続かなかったのです。
彩りのいいお弁当の写真を見ると、つい「これくらいはやらなきゃ」と思ってしまいます。でも、あの写真の裏には、前の晩の下ごしらえや、休みの日にまとめて仕込んだ常備菜があることも多いのです。朝だけを切り取って、自分の朝と比べていたら、しんどくなるのも当然でした。
「作る」は前の晩に。朝は「詰める」だけにする

そこで、考え方を変えました。
お弁当は、朝に一から作るものではなく、前の晩の夕食のついでに、朝すぐ詰められる状態まで近づけておく。
これは、作り置きをするというより、前の晩の夕食を少しだけ職場の昼食にまわす感覚です。まとめて何品も仕込むのではなく、今日の夕食の延長で、明日の昼のぶんを少し残す。それくらいの軽さで十分です。
具体的には、こんなふうにしています。
- 夕食を作るとき、少し多めに用意しておく:おかずを一品、ご飯を一膳ぶん多く。特別な作業を増やさず、今夜の延長でできます。
- 詰めるだけでいい物を、常備しておく:ミニトマト、個包装の食品、冷凍食品。手を加えなくていい物を、いくつか用意しておきます。
- 朝は、容器に移すだけにする:何を入れるか、前の晩にはもう決まっている状態にしておく。朝の自分は、選ばず、ただ詰めるだけです。
冷凍食品は、特に重宝しています。ご飯だけ前の晩に詰めておいて、朝、冷凍食品を凍ったまま詰める。それだけです。お昼ごろには自然に解凍されているので、あとは職場で温めるだけで食べられます。凍った状態のまま持っていくので、保冷剤のような役目も果たしてくれます。ただし、これは職場に温め直せる環境がある人向けの方法です。電子レンジが使えない場合は、常温でも食べられる物を選んでください。
ポイントは、朝の自分に、判断も調理もさせないことです。
前の晩の自分が、少しだけ手を伸ばして準備しておく。朝の自分は、それを容器に移すだけ。作業を減らすのではなく、作業をやる時間をずらす、という発想です。
一つだけ、注意も書いておきます。前の晩に用意したおかずは、朝までしっかり冷蔵しておくことと、詰めるときに保冷剤を使うことが大切です。暑い時期や、職場で冷蔵できない日、傷みやすい食材を使った日は、無理に持っていかなくていいと思います。心配な日は、買う日にする。この逃げ道も、続けるためには大事です。
やってみて、変わったこと
このやり方に変えて、まず変わったのは、お弁当の中身の豪華さではありませんでした。
朝、何も考えなくてよくなったことです。
前の晩に「何を詰めるか」がもう決まっているので、朝は手を動かすだけで終わります。献立に悩む時間も、洗い物の量も、前より増えていません。今までやっていた夕食の延長で、弁当のぶんも一緒にできている感覚です。
もちろん、これで毎日完璧に続くと言い切れるものではありません。それでも、続けようとするたびに力尽きていた朝が、少しずつ減っていきました。
コンビニで買う日も、まだあります。ただ、以前のように「今日も作れなかった」という気持ちにはならず、「今日は詰める材料がなかったから」と、理由がはっきりしているぶん、自分を責める感じが減りました。
副産物もありました。詰めるだけの常備品を切らさないよう、買い物のときに少し意識するようになったので、行き当たりばったりでコンビニに寄る日が、私の中では少し減っていきました。節約しようと気合を入れたわけではなく、材料が家にあるから、それを使っただけでした。
出勤時間がバラバラでも、前の晩なら関係ない
介護の仕事は、シフトによって出勤時間が毎日のように変わります。早番の日もあれば、遅番の日もある。日によって、朝に使える時間はまったく違います。
もし「朝に作る」やり方だと、早番の日は特に厳しくなります。ただでさえ早い朝に、調理まではとても手が回りません。
でも、準備を前の晩にずらしておけば、朝に使える時間が何時であっても関係ありません。出かける前に、詰めるだけ。数分で終わるので、早番の日でも成り立ちます。
シフトが不規則なほど、「朝の余裕」は当てにできません。だからこそ、余裕のある前の晩に寄せておく。勤務時間が読めない仕事だからこそ、効いてくる考え方でした。
毎日、手作りでなくてもいい
念のために書いておくと、これは「毎日手作りするべき」という話ではありません。
コンビニやお惣菜を買う日があってもいいと思います。忙しい朝に、無理に台所に立つ必要はありません。
ここで書いたのは、あくまで「作りたい気持ちはあるのに、朝の忙しさで続かない」人への一つのやり方です。合わない日は、買えばいい。それだけのことです。
今日できる、小さな一歩

今日は、一つだけ。
今夜、夕食を作るなら、おかずを一品だけ多めに用意してみてください。
作らない日なら、明日の昼に持っていけそうな物を一つだけ、家に置いておくだけでも大丈夫です。
それが余ったら、明日の朝、容器に詰めるだけにしてみる。うまくいかなくても、今日はそこまでで十分です。
おわりに
お弁当作りが続かないのは、あなたが不器用だからではありません。朝という、いちばん時間のない時間に、「作る」と「詰める」を両方やろうとしていたからかもしれません。
作るのは、前の晩のついでに。朝は、詰めるだけ。
それくらいの分け方のほうが、疲れが残る日にも戻ってきやすいのだと思います。
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