夜勤明け。洗濯機は回した。干すのも、なんとかやった。
でも、乾いた洗濯物は、取り込んだままカゴの中。「あとでたたもう」と思って、そのまま次の日になる。気づけば、洗濯物の山が、部屋の隅で二日、三日と居座っている。
そこから、着るぶんだけ引っぱり出して、また山に戻す。たたむ日は、いつまでも来ない。
——そんなふうに、「洗濯物をたたむのが、どうしても続かない」人に向けて書きます。
結論を先に言うと、たためないのは、あなたがだらしないからではありません。全部をたたむ必要が、そもそもないだけかもしれません。

たためないのは、だらしないからではない
まず言っておきたいのは、洗濯物をたためないのは、あなたがずぼらだからでも、家事能力が低いからでもない、ということです。
考えてみてください。洗濯には、いくつもの工程があります。洗う、干す、取り込む、たたむ、しまう。
このうち、洗う・干す・取り込むは、やらないと生活が回らないので、なんとかこなせます。でも、「たたむ」だけは、飛ばしても、とりあえず困りません。
だから、いちばん後回しにされやすい。しかも、たたむのは、たいてい乾いたあと、まとめてやる作業です。疲れがたまったタイミングで、山になった洗濯物と向き合うことになる。
続かなくて、当然なのだと思います。あなたの意志ではなく、「たたむ」という工程の置かれた場所が、悪いのです。
そもそも、なぜ「たたむ」のか
私にも、失敗があります。
以前は、乾いた洗濯物を全部たたもうとしていました。でも、山を前にすると、「これを全部たたんで、それぞれの場所にしまうのか」と考えるだけで、手が止まる。結局、山は片づかないままでした。
あるとき、ふと考えました。そもそも、なぜ「たたむ」のだろう、と。
たたむのは、それ自体が目的ではありません。引き出しや棚に、きれいに収めるための手段です。つまり、「しまう」ための下ごしらえにすぎません。
だとしたら、しまい方のほうを変えれば、たたむ工程そのものが、要らなくなるはずです。
そもそも、たたむのが当たり前になっているのは、引き出しや棚にきれいに収めることを前提にしているからです。でも、その前提は、絶対のものではありません。掛けて収める場所があれば、たたむ必要はない。放り込んでいい場所があれば、そこもたたまなくていい。大きな収納を用意しなくても、今あるカゴや箱、空いている引き出しの一角で十分です。前提のほうを少し変えるだけで、工程は減らせます。
たたむのは、目的ではなく、しまうための手段でしかない。そう気づいてから、洗濯物との付き合い方が、少し変わりました。
たたむのをやめて、しまい方を変える

そこで、やり方を変えました。
たたむのを頑張るのではなく、たたまなくていいしまい方に変える。
具体的には、こんなふうにしています。
- 掛けられる物は、ハンガーのままにする:シャツやパンツは、干したハンガーのまま、クローゼットへ移すだけ。「干す」が、そのまま「しまう」になります。
- 下着・靴下・タオルは、たたまず放り込む:種類ごとに箱やカゴを分けて、乾いたらそこへ放り込むだけ。きれいに並べません。
- たたむ物を、本当に必要な物だけに絞る:どうしてもたたみたい物だけ残して、あとは放り込みか掛けるに回す。
ポイントは、家事を頑張って続けようとするのではなく、工程を一つ丸ごと消すことです。
たたむのが続かないなら、たたまなくて済む形にしてしまう。続ける努力ではなく、続ける必要のない仕組みに変える、という発想です。
「放り込むなんて、雑すぎる」と感じるかもしれません。私も最初は、少し抵抗がありました。でも、たたもうとして結局たためず、乾いた洗濯物が山のまま何日も居座るのと、雑でもその日のうちに放り込んで片づくのと、どちらが暮らしとして回っているか。そう考えたら、答えははっきりしていました。きれいにたたむことより、まず山を作らないことのほうが、部屋も気持ちも、私にはずっと落ち着きやすく感じました。
やってみて、変わったこと
このやり方に変えて、まず変わったのは、部屋のきれいさではありませんでした。
洗濯物の山を見て、ため息をつかなくなったことです。
以前は、乾いた洗濯物を見るたびに、「たたまなきゃ」というプレッシャーがありました。今は、干したハンガーをそのまま移すか、カゴに放り込むだけなので、「山」ができません。
もちろん、放り込んだ下着やタオルは、きれいに並んではいません。でも、使うときに困ったことは、ほとんどありませんでした。取り出して使えれば、それで十分だったのです。
特に効いたのは、掛ける収納でした。ハンガーで干して、乾いたらそのままクローゼットに移すだけ。「干す」と「しまう」が一つの動作になったので、あいだにあった「取り込んでたたむ」という工程が、まるごと消えました。ハンガーの数だけ用意しておけば、洗濯物が宙ぶらりんのまま乾いて、そのまま収まっていく感覚です。
見た目のきちんとさは、少し手放しました。その代わり、「たたまなきゃ」という気持ちの重さも、一緒に手放せた気がします。私には、そのほうが合っていました。
夜勤明けの日ほど、工程は少ないほうがいい
介護の仕事をしていると、夜勤明けや連勤の途中は、洗濯物をたたむ気力まで残っていないことがあります。
洗って、干すところまでは、体が動く。でも、乾いた物をたたんで、引き出しに分けてしまう——その最後のひと手間が、どうしても越えられない日がある。
そういう日が続くと、洗濯物の山が、部屋に居座り続けます。そして、その山を見るたびに、少しずつ気持ちが削られていく。
たたむ工程をなくしておくと、その最後のひと手間がありません。干す、取り込む、そのまましまう。工程が一つ減るだけで、疲れた日でも、洗濯を最後まで持っていきやすくなりました。
仕事用のインナーや靴下、タオル類は、枚数も多くなりがちです。毎回きれいにたたもうとすると、それだけで最後の工程が重くなる。だからこそ、仕事用の物ほど、放り込む・掛けるで済む形にしておくと、私には楽でした。
たたむのが好きな人は、そのままでいい
念のために書いておくと、これは「たたむのをやめるべき」という話ではありません。
洗濯物をたたむ時間が好きな人、きちんと並んだ引き出しを見ると気持ちがいい人は、そのまま続けていいと思います。たたむこと自体が、心を整える時間になっている人もいるでしょう。
ここで書いたのは、あくまで「たたみたいのに、続かなくて山になってしまう」人への一つのやり方です。全部やめる必要はありません。掛ける物と、たたむ物を、自分の気力に合わせて分ければいいだけです。
それに、専用の収納グッズを買わなくても大丈夫です。今ある箱や袋、空いている引き出しの一角があれば、それで始められます。
今日できる、小さな一歩

今日は、一つだけ。
たたむのをやめる物を、一種類だけ決めてみてください。
タオルでも、靴下でも、下着でもかまいません。その一種類だけ、たたまずに放り込むか、掛けるだけにしてみる。
できれば、その物を入れる場所も、一つだけ決めておく。タオルならこのカゴ、靴下ならこの箱、というふうに。放り込む先が決まっていれば、乾いたあとに迷いません。
迷うなら、いちばん枚数が多くて、たたむのが面倒な物から選ぶと始めやすいです。タオル、靴下、下着のどれか一つ。全部を変えなくて大丈夫です。一種類でも工程が減ると、「たたまなきゃ」の総量が、少しだけ軽くなります。
うまくいったら、また次の一種類を。それくらいのペースで十分です。
おわりに
洗濯物をたためないのは、あなたがだらしないからではありません。たたむという工程が、たまたま、いちばん重い場所に置かれていただけかもしれません。
たたむのは、しまうための手段でしかない。だったら、しまい方を変えれば、たたまなくてもいい。
家事は、毎回ちゃんと続けるより、続けなくても回る形にしておくほうが、疲れた日には助かることがあります。少なくとも私には、そのほうが合っていました。
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