引き出しを整理して、少し空きができる。
その数週間後に開けてみると、また何かが入っている。減らした分だけ、別の物が収まっていた。
——そんなことが繰り返される人に向けて書きます。
先に結論を言うと、空いている場所は、使っていない場所ではないのだと思います。空きは、出し入れをするための余裕です。
空いている場所は、置き場所に選びやすい
物を減らしたあと、そこに何かが入っていくことがあります。
意識して「埋めよう」と思うわけではありません。ただ、新しく入ってきた物の置き場所を探すとき、まっさきに目に入るのが、空いている場所なのだと思います。
買ってきた詰め替え用品や、予備の文具を、とりあえず空いている棚へ置く。そういう場面です。
置き場所を考えるのは、それなりに頭を使います。どこが使いやすいか、何の近くがいいか。仕事から疲れて帰った日は、そこまで考えたくありません。
そういうとき、空いている場所は「決めなくていい場所」になります。
そうすると、使いやすい場所を選ぶより先に、「ここが空いているから」で置き場所が決まります。

空きは「使っていない場所」ではない
引き出しがぎっしり詰まっていると、一つ取り出すのに、まわりの物をどかすことになります。
戻すときも同じです。押し込まないと入らない。だから、疲れた日は出しっぱなしになります。
入ることと、使いやすいことは同じではありません。
手が入る。中を見渡せる。戻すときに押し込まなくていい。
そのために残っている空きなら、使っていない場所ではありません。
場所によって、詰まったときの困り方が違う
同じ「いっぱい」でも、困り方は場所で変わります。
引き出しは、押し込まないと入らなくなります。閉まりにくくなるので、戻すのが面倒になります。
服をかける場所は、詰まっていると一着出すのに隣まで動きます。かけ直すのにも手間がかかります。
棚は、手前と奥ができます。奥の物を取るのに、手前をどかすことになります。
どこも、「入らなくなる」より先に「出し入れがしにくくなる」ほうが早く来ます。

まだ入るのに使いにくい、という状態がしばらく続きます。その間は、たいてい出しっぱなしが増えます。
空きは、予定外のものを受け止める場所でもある
もう一つ、空いていると助かる場面があります。
暮らしていると、その日だけ置き場所が要るものが出てきます。
届いた荷物。乾ききらなかった洗濯物。まだ捨てるか決めていない物。人からもらって、置き場所をこれから考える物。
どこも満杯だと、そういうものは床やテーブルの上に出ます。置く場所がないからです。
空きがあれば、とりあえずそこへ置けます。
空きは、決まった物のための場所ではなく、まだ決まっていない物のための場所でもあります。
だから、全部を「何かの定位置」で埋めてしまうと、予定外のものを置く場所がなくなります。
収納は、いっぱいまで使わなくていい
空いていると、もったいない気がすることがあります。
せっかく場所があるのに使っていない。もっと入るはずなのに。そう思うと、埋めたくなります。
ただ、収納は入れ物であって、埋めるための場所ではありません。
家の中の収納をすべて満杯にしても、どこに何があるか分かりにくくなって、探す時間が増えることもあります。
「どれだけ入るか」より、「使いたいときに取り出せるか」を見たほうがいいのだと思います。
減らした直後は、新しい物が入りやすい
これは順番の問題でもあります。
物を減らした直後は、収納に空きがあります。
新しい物が入ってきても、置き場所に困りません。空いている棚や引き出しへ、そのまま収まります。
だから、物が一つ増えても、見た目はそれほど変わらないことがあります。減らしたあとだからこそ、「まだ入る」が続きやすい。
そうして気づいたときには、せっかくできた空きが、また埋まっていることがあります。
物を減らしたのに収納がまた埋まるのは、片付けが下手だからとは限りません。空いた場所が、そのまま次の物の置き場所になっていたからかもしれません。
「ここまでは詰めない」を一か所だけ決めておく
とはいえ、家じゅうの空きを守るのは無理だと思います。
一か所だけでいいと思います。
引き出しの端。棚の一部分。箱の中の少しの空きでも構いません。大きな場所を空ける必要はありません。
決めていないと、空きは「まだ入る場所」に見えます。決めておくと、「ここまでは詰めない場所」になります。
同じ空間なのに、先に決めてあるかどうかで、扱いが変わります。

そして、その空きまで使い始めたら、物の量や置き場所を一度確認する目印になります。
新しく物が増えたのか。別の場所から移ってきたのか。どちらにしても、「いつの間にか全部埋まっていた」となる前に、一度立ち止まれます。
今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、家の中ですでに空いている場所を一つ見て、「この端までは詰めない」と決めてみてください。
新しく物を減らす必要はありません。
引き出しの端でも、棚の一部分でも構いません。
今日は、場所を一つ決めるだけで十分です。
おわりに
物を減らして空きができたのに、しばらくするとまた埋まっている。
それは、片付けが下手だからとは限りません。
置き場所を考えるのは手間なので、空いている場所は、新しく入ってきた物の置き場所になりやすいのだと思います。
でも、空きも収納を使うために必要な部分です。
全部を使い切らなくていい。引き出しの端や棚の一部分だけでも、「ここまでは詰めない」と決めておく。
その空きまで使い始めたら、物の量や置き場所を一度見直す。
空いている場所を、空いたまま使う方法もあるのだと思います。
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