ハサミを使おうとして、引き出しを開ける。入っていない。台所を見たらあった。
ペンも同じです。机にもあるし、玄関にもあるし、カバンの中にもある。
——そんな家に住んでいる人に向けて書きます。
先に結論を言うと、こういう物は「捨てるかどうか」を考える前に、同じ用途の物を一度一か所へ集めてみるほうが早いと思います。数が見えていないと、多いのかどうかも分からないからです。
同じ物が増えるのは、だらしないからではない
ペン、ハサミ、カッター。爪切りや耳かきもそうかもしれません。
こういう物が増えるのには、理由があると思います。
一つは、使う場所が一か所ではないことです。ハサミは台所でも使うし、荷物を開けるときにも使う。ペンは机でも書くし、玄関で宅配の伝票にも書く。だから、あちこちに置きたくなります。
もう一つは、探すより買うほうが早く感じる日があることです。
疲れて帰ってきて、爪切りが見当たらない。どこかにあるはずだけれど、心当たりを順番に開けていく気力がない。値段の高くない物なら、次の買い物で新しく買うほうが早く感じることもあります。
そうして増えた物が、元からあった物とは別の場所に落ち着きます。
増えていることに、気づけない
ここが厄介なところだと思います。
同じ物が分散していると、一か所には一つか二つしかありません。
机の引き出しを開けたときに見えるのは、ペン二本です。二本なら多いとは思いません。玄関にも二本、台所にも一本、カバンにも一本。それぞれの場所では、どれも「ちょうどいい数」に見えます。
家全体では六本あっても、六本という数を見る機会がない。
だから「増えてきたな」と思うきっかけがありません。気づかないまま、また一本足すことになります。

減らす前に、同じ用途の物を集めてみる
私の場合は、引っ越しのときにこれをやりました。
荷造りをしていると、どうしても同じ物が別々の箱に入りそうになります。それが面倒だったので、種類ごとに一度ぜんぶ床へ出しました。
ペンを集めて、ハサミを集めて、テープを集めて。
出してみると、思っていたより多く持っていることが分かりました。
インクが出ないペン。刃がゆるくて切りにくいハサミ。長い間使っていない物。

一つずつ別の場所で見ていたときより、並べたほうが違いを比べやすくなりました。
集めれば必ず答えが出るわけではありません。全部使える状態だったり、それぞれに思い入れがあったりすれば、並べても迷うことはあると思います。
それでも、持っている量や状態が見えていなければ、何を残したいかも決めにくいのだと思います。
「同じ種類」ではなく「同じ用途」で集める
ここで一つだけ注意があります。
同じ分類に見えても、役割が違う物があります。黒いボールペンと蛍光ペン。紙を切るハサミと台所用のハサミ。名前は似ていても、互いの代わりにはなりません。
なので、集めるときは同じ用途の物だけにします。
黒いボールペンなら、黒いボールペンだけ。紙を切るハサミなら、同じ用途のハサミだけ。
役割の違う物まで、無理に一つへまとめる必要はありません。
「捨てる物」ではなく、「残したい物」から選ぶ
そのとき私がしたのは、それぞれ一番使っているものを一本だけ残すことでした。
これは、捨てる物を一つずつ選ぶのとは向きが逆です。
「これは捨ててもいいか」と全部へ問いかけると、物の数だけ判断が続きます。
一方で、並べた中から「これから使いたいのはどれか」と残す側を先に選ぶと、判断の向きを一つにできます。
しかも、集めて並べてあるので比べられます。どれが一番書きやすいか、どれが一番よく切れるか。並べれば分かります。

私の場合は一本でしたが、必ず一本にする必要はありません。
使う場所が離れていて、どちらにも必要なら二本残していいと思います。
大事なのは、数をできるだけ減らすことではなく、「いつの間にか増えていた数」を「自分で決めた数」に変えることです。
決めたあとは、足すかどうかも自分で決められます。
全部を一度にやらなくていい
引っ越しのときは、複数の種類をまとめて集めました。
ただ、普段の暮らしで、同じ規模の片付けをする必要はありません。あのときにやったことを小さくするなら、今日は黒いボールペンだけでも十分です。
増えやすいものは、だいたい決まっています。
- 文房具(黒いボールペン、ハサミ、カッター、定規)
- 身の回りの小物(爪切り、毛抜き、耳かき)
- 家で使う小さな道具(メジャー、ドライバー、栓抜き)
どれも小さくて、別の場所へ置いても邪魔になりにくい物です。小さいから増えても気づきにくく、必要なときに見つからないと、もう一つ買いやすいのだと思います。
一種類やってみると、その用途だけは「今いくつ持っているか」が分かる状態になります。それだけでも、次に買うかどうかを迷わなくなります。
今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、同じ用途の物を一種類だけ決めて、家の中から集めてみてください。
たとえば、黒いボールペンだけ。
今日は集めて並べるところまでで構いません。減らす必要も、残す数を決める必要もありません。
まず、今いくつ持っているのかを見る。そのあとで残したい物が見つかったら、そこから選べば十分です。
全部を集めきらなくても大丈夫です。目につく範囲から集めるだけでも構いません。
おわりに
同じ物が増えるのは、管理が苦手だからとは限りません。
使う場所が複数あったり、疲れた日に探すより買うほうが早く感じたりして、少しずつ別の場所へ増えていくことがあります。
分散していると、一か所には一つか二つしか見えません。
だから、減らすかどうかを考える前に、まず同じ用途の物を集めてみる。今いくつあり、どんな状態なのかが見えてから、残したい物を選ぶ。
一本にする必要はありません。
「なんとなく増えていた数」を、「自分で決めた数」に変えられれば十分だと思います。
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