やっと休みが来た。セールで買った新作のゲームが、ライブラリに眠っている。前から気になっていた映画も、まだ見ていない。
なのに、いざ時間ができると、そこには手が伸びない。開いたのは、いつものスマホゲーム。ログインボーナスだけ受け取って、なんとなく閉じる。そのあとは、登録しているチャンネルの総集編を、また流している。前にも見たやつです。
気づけば休みが終わっていて、新作はやっぱり、開かれないまま残っている。
——そんなふうに、軽いものにばかり流れてしまう自分に、少し引っかかっている人に向けて書きます。
先に結論を言うと、軽いものに流れるのは、あなたの意志が弱いからではないかもしれません。ただ、軽いことと、満たされることは、同じではないとも思っています。

軽いものに流れるのは、意志の問題ではない
まず言っておきたいのは、疲れた日にスマホゲームやSNSばかり開いてしまうのは、あなたがだらしないからでも、堕落したからでもない、ということです。
新しいものを始めるのには、手間がかかります。ゲームなら、操作を覚えて、システムの説明を読む。最初の一時間は、たいていチュートリアルです。映画やドラマなら、誰が誰なのか、どういう関係なのかを、頭の中で整理しながら見ることになります。
面白くなるのは、たいていそのあとです。でも、その手前で止まってしまう。
一方で、いつものスマホゲームは、指が勝手に動きます。何も覚えなくていいし、何も決めなくていい。SNSも動画も、流れてくるものを眺めているだけで進みます。
疲れた日に、説明のいらないものへ手が伸びることがあります。楽をしようとしたというより、そのとき一番入りやすいものを選んでいただけかもしれません。
ただ、軽さと満たされることは、同じではない
ここが、正直に書いておきたいところです。
私にも、ログインボーナスだけ受け取って終わるスマホゲームが、いくつかあります。楽しみたくて開いているというより、いつもの流れでログインしている日もあります。もう何年も、そうやって続けているだけのものです。
そういう日は、たしかに何も考えずに済みます。でも終わったあと、「何をしていたんだろう」と少し思う。時間だけが、静かに溶けていった感じがあります。
一方で、同じ軽いものでも、違う日があります。
昔やり込んだゲームを起動した日。登録しているチャンネルの総集編を、また最初から流した日。前に見たやつなのに、ちゃんと面白い。むしろ「この先どうなるんだろう」と気を張らなくていいぶん、落ち着いて楽しめる。
軽いのは、どちらも同じです。でも、後に残るものが違いました。
大事なのは「古いかどうか」ではなく「入り方を知っているか」
そう考えると、分かれ目は年代ではないのだと思います。
昔のゲームだから休まるわけでも、新しいから疲れるわけでもありません。大事なのは、自分がその入り方を知っているかどうかです。
- 操作を覚えているゲーム
- 結末まで知っている映画
- 次に流れる音までなじんでいる音楽
- 何度も見た、あのチャンネルの総集編
説明を読み直さなくても、そのまま中へ入っていける。だから、疲れた日でも越えられます。少なくとも私の場合は、新作を始めるより負担が少なく感じられました。
ここで分けたいのは、スマホゲームか昔の作品か、という種類ではありません。
同じゲームでも、遊んで楽しい日と、ログインだけで終わる日があります。同じ動画でも、見たくて選んだ日と、なんとなく流し続けた日は、閉じたあとの感じが違います。
私が疲れた日に持っておきたかったのは、説明を読み直さなくても入れて、終わったあとに少しでも「これでよかった」と思えるものでした。

「説明はいらないけど、後に少し残るもの」を一つ持っておく
そこで私がやってみたのは、疲れた日の逃げ場を、少しだけ選び直す、という方向でした。
- 説明なしで入れて、閉じたあとに少し何か残るものを一つ決めておく。 昔やり込んだゲーム、何度も見た総集編、聴き慣れたアルバム。疲れた日に迷わないよう、先に決めておきます。
- 惰性のものを、無理にやめない。 ログインボーナスだけのスマホゲームも、それはそれでいいと思います。責める必要はありません。ただ、それだけで一日が終わりそうな時に、もう一つの選択肢を思い出せるようにしておく。
- 新作は、元気な日のためにとっておく。 積んだままのゲームがあっても、無駄ではありません。元気な日が来たときのぶんです。
新しく何かを始める話ではありません。すでに持っているものの中から、選び直すだけの話です。
やってみて、変わったこと
私の場合は、「今日は疲れてるから、あれでいい」と最初から決めておくほうが、休みの日が気楽になりました。
前は、休みのたびに「新作を消化しなきゃ」と思っていました。セールで買ったのに開いていないもの。話題になっているのに見ていないもの。楽しみのはずのものが、いつのまにか宿題みたいになっていたんだと思います。
そのくせ、いざ開いても頭に入ってこなくて、途中でやめる。振り返ると、疲れた日に新作を開こうとしていたことのほうが、無理だったんだと思います。
ログインボーナスだけの日が、なくなったわけでもありません。今もあります。ただ、「今日はこれで終わりそうだな」と思った時に、昔のゲームや総集編に切り替えられる日が、少し増えました。積んだままのゲームを見ても、前ほど責められる気がしません。
それだけの違いですが、休みが終わったあとの感じは、私には違いました。
夜勤明けほど、新しいものは重い
これは、頭を使う仕事のあとほど、はっきり出るように思います。
夜勤明けの日中や、連勤のあとの休み。時間はあるのに、新しいものを始める気力だけがない。夜勤明けや連勤後の私は、時間があっても、新しい操作や人物関係の説明を読む気になれない日がありました。
介護の仕事は、体もですが、頭もずっと動かしています。利用者さんの様子を見て、次にすることを考えて、記録を取って、申し送りをする。一日の終わりに、新しい説明を読む元気は、正直あまり残っていません。
そういう日に「せっかくの休みなのに」と自分を急かしても、たいてい何も始まりません。私は、そういう日は最初から「あれでいい」と決めておくくらいで、ちょうどよかったです。
しかも、今すでに遊べるゲームや、今使っている動画・音楽サービスの中から選べるなら、このために新しいものを買う必要はありません。昔の作品を買い直したり、新しくサービスを契約したりしなくて大丈夫です。今ある選択肢の中から、一つ決めれば十分です。
新しいものを楽しめる人は、そのままで
念のため書いておくと、疲れていても新作を楽しめる人は、無理に変える必要はありません。疲れているときこそ新しい刺激が効く、という人もいると思います。
これは、「楽しみのはずのものが、なぜか始められない」「気づいたら時間だけ溶けている」と引っかかっている人だけの話です。当てはまらないなら、読み流してもらって大丈夫です。
今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、疲れた日に開く”あれ”を、一つ決めておいてください。
昔やり込んだゲーム、何度も見たあのチャンネル、学生の頃から聴いているアルバム。今すでに手元にあるもので大丈夫です。
選ぶ目安は、説明を読まずに始められて、閉じたあとに少しでも「これでよかった」と思えたもの。これまでを思い返して、そう感じたことがあるものを選べば十分です。
今日、それを開かなくても大丈夫です。決めておくだけで十分だと思います。

おわりに
疲れた日に軽いものへ流れるのは、意志が弱いからではなく、そのとき一番入りやすいものを選んでいるだけかもしれません。
ただ、軽いことと、満たされることは、同じではないのだと思います。だとしたら、必要なのは我慢ではなくて、説明はいらないけれど、閉じたあとに少し何かが残るものを一つ持っておくことなのだと思います。
少なくとも私にとっては、疲れた日に昔のゲームへ戻ることは、逃げではなく、休み方の一つでした。
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