夜勤明けの朝、疲れきって部屋に帰る。
床には片づけられないものが少しずつ溜まり、通帳を見ても、何にいくら使ったのかよく分からない。
給料が大きく増える見込みは、すぐにはない。
アラフォーの介護士として働きながら、「このままでいいのかな」と、ふと不安になることが増えていきました。
これは、そんな私が、特別な才能もまとまったお金もないまま、暮らしを少しずつ整え始めた、いちばん最初の記録です。このブログ「こたログ」が始まったきっかけの話でもあります。
特別な成功談ではありません。低賃金でも、忙しくても、まず何から手をつければいいのかを考えた、ただの実体験です。

散らかるのは、あなたの意志が弱いからではない
先に、これだけは言わせてください。
疲れて部屋が散らかるのも、家計が把握できないのも、あなたの意志が弱いからではありません。
介護の仕事は、体力も気持ちも削られます。夜勤や交代勤務で生活リズムは不規則になり、帰るころには、考える力も片づける力も、かなり減っています。
それに、介護は体を動かすだけの仕事ではありません。利用者さんの様子に気を配り、段取りを考え、急な変化に対応する。一日中、大小の判断を続けています。だから家に帰るころには、体だけでなく、頭の「決める力」もかなり減っています。何かを始めたり、片づけたりするのが重くなるのも、自然なことです。
夜勤明けに、コンビニの袋をテーブルに置いたまま、そのまま寝てしまう。気づけば、郵便物も洗濯物も少しずつ溜まっていく。
その状態で、部屋や家計にまで手が回らない日があっても、不思議ではありません。だらしないのではなく、単純に、力が残っていないだけです。
だから私は、自分を責めるところからは始めませんでした。代わりに、「疲れていても回る仕組み」を、一つずつ作っていくことにしました。
増やすより先に、「漏れ」を止めることから始めた
当時の私が最初に考えたのは、正直に言えば「どうやって収入を増やすか」でした。
副業、投資、資格。お金の不安があると、つい「増やす」ほうに目が向きます。
実際、当時の私も、スマホで副業や投資の情報を夜遅くまで調べていた時期がありました。でも、疲れた頭で読んでも内容は入ってこず、「自分にはできないかもしれない」と、かえって落ち込むだけでした。
でも、あるとき気づきました。土台がぐらついたまま増やそうとしても、ザルで水をすくうようなものだと。
毎月、何にいくら使っているか分からない。使っていないサービスや保険を、そのままにしている。——この状態で収入だけ増やしても、結局どこかから漏れていきます。
そこで、順番を変えました。
足し算(増やす)の前に、引き算(漏れを止める)から。
派手ではありませんが、私にはこれがいちばん現実的でした。収入を増やすのはすぐには難しくても、使っていない支出を一つ見直すことなら、今日からでも始められます。一度見直した固定費は、その後もしばらく、負担を軽くしてくれることがあります。
この「増やす前に、まず漏れを止める」という順番は、今もこのブログの、お金の話のいちばん土台になっている考え方です。ここで大事だったのは、固定費の具体的な下げ方そのものよりも、まず「増やす前に漏れを止める」という順番を、自分の中で決めたことでした。
最初の入口は「お金の流れを見ること」だった

暮らしには、物・お金・心と、整えたい場所がいくつもあります。その中で、私が最初の入口に選んだのは「お金」でした。
理由は、いちばん「見えていなかった」からです。
部屋の散らかりは、目に見えます。でも、お金の流れは、意識して見ないと分かりません。気づかないうちに、毎月決まった額が、よく分からないまま出ていく。その「見えなさ」が、いちばん不安の元になっていました。
だから、まず見えるようにすることから始めました。具体的には、固定費を一つずつ確認していきました。
- 使っていないサブスクを書き出す:契約したまま忘れていたものを、一度すべて並べてみました。
- クレジットカードや口座を整理する:管理する場所を減らすと、お金の流れが追いやすくなります。
- 保険を見直す:今の自分に必要な保障か、貯蓄と保険が混ざりすぎていないかを確認しました。
- 通信費を見直す:大手キャリアを使い続ける理由があるか、使用量に合ったプランかを見直しました。
- 車やペットなどの固定費も確認する:必要な支出か、安心のために払いすぎていないかを、一つずつ見ました。
実際にやってみると、契約したことすら忘れていた動画サービスが出てきたり、ほとんど使っていないのに毎月引き落とされているものが見つかったりしました。一つひとつは大きな金額ではありません。それでも、「気づかないまま払い続けていた」という事実のほうが、こたえました。
一気に全部はできません。夜勤明けの日は、一つ見るだけで十分でした。それでも、見えていなかったものが見えるだけで、不安は少し小さくなりました。
何でも削るのではなく、「合っていない支出」を見つける
家計を見直すというと、我慢や節約のイメージがあるかもしれません。
でも、続けやすかったのは、「生活の満足度を下げずに、重たい支出だけ減らす」やり方でした。
通信費を下げても、普段の使い方で困らなければ、ストレスはありません。カードや口座を減らすと、むしろ管理が楽になります。保険は、削ることよりも、今の自分に必要な保障かを確認することを優先しました。不安な場合は無理に減らさず、必要に応じて窓口で確認するほうが安心です。
大切なのは、何でも削ることではなく、今の暮らしに合っていない支出を見つけることです。
ここを間違えると、節約はただの我慢になって、続きません。低収入だからこそ、毎日の小さな楽しみを削って疲れるより、「合っていないものだけ手放す」ほうが、結果的に長く続きました。
お金が見えると、部屋も、心も、整い始めた
不思議なもので、お金の流れが見えてくると、ほかのことにも手が伸びるようになりました。
一つ整うと、「次もできるかも」と思える。逆に、何もかも散らかっていると、どこから手をつけていいか分からず、全部が止まってしまう。
物・お金・心は、別々のようでいて、つながっています。
お金から始まったこの見直しは、そのまま「部屋を整える」「心の負担を減らす」へと、少しずつ広がっていきました。このブログで書いている、捨て方・片づけ・メンタル・お金の話は、どれもこの一点——「疲れていても回る暮らしを作る」——から枝分かれしたものです。
私の場合、お金の次に手をつけたのは部屋でした。といっても、いきなり片づけたわけではありません。お金で覚えた「まず見えるようにする」を、部屋にも応用しただけです。床に置きっぱなしのものを、一か所に集めてみる。それだけで、自分が何を持ちすぎているのかが、ようやく見えてきました。
だからもし、今あなたが「何から手をつければいいか分からない」状態なら、入口はどこでもかまいません。いちばん気になっているところから、一つだけ見てみる。それで十分です。
一度に全部やろうとして、止まったこともある
最初から順調だったわけではありません。
やる気が出た日に「今日こそ全部整える」と意気込んで、結局どれも中途半端で終わり、余計に疲れて、その後何日も動けなくなる。そんなことを、何度か繰り返しました。
分かったのは、疲れている人間に「一気に」は向かない、ということです。
土台を整えるのは、短距離走ではありません。少しずつ進めるほうが、結局はいちばん速い。一日に一つ、見えるところから。それくらいの歩幅が、私には続きました。
今日できる一歩
いきなり家計を完璧に整える必要はありません。まずは、次のどれか一つだけで十分です。
- 今月のサブスクを書き出す
- スマホ料金を確認する
- 保険証券の場所だけ確認する
- 使っていないカードを1枚だけ確認する
疲れている日でも、5分でできることから始める。それだけでも、今まで見えていなかったものに気づくきっかけになります。
完璧を目指さなくて大丈夫です。今日、一つ見えたら、次に何を確認すればいいかが、少し分かりやすくなります。
おわりに:ここから、整える暮らしが始まった

暮らしを整える第一歩は、特別な道具を買うことでも、急に収入を増やすことでもありませんでした。
私の場合は、「お金の流れを見ること」からでした。増やす前に、漏れを止める。土台から、一つずつ。
収入や時間に余裕がないからこそ、仕組みを少しずつ軽くしていく。このブログは、その実験の記録です。
すぐに人生が変わったわけではありません。でも、何に疲れていて、何が重くなっているのかは、少しずつ見えるようになりました。同じように疲れて、同じように余裕のない誰かの、ささやかな手がかりになればと思っています。
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