疲れて何から手をつけるか決められない人へ。前の晩に「1つだけ」決めておく

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朝、目は覚めているのに、何をすればいいのかぼんやりしたまま、時間だけが過ぎていく。

夜勤明けで帰ってきても、やることはあるはずなのに、何から手をつければいいか決められず、気づけばスマホを眺めたまま動けていない。

洗濯、買い出し、たまったお皿。やるべきことは、頭の中にぼんやりとあります。でも、その中から「どれを、いつ、どうやるか」を決めようとした瞬間に、なぜか急に体が重くなる。

やる気がないわけではありません。やらなきゃ、とは思っている。でも、体が動かない。そんな自分に、また少し落ち込む。

——そんなふうに、「何からやるか決められない」状態に、よくなる人に向けて書きます。

結論を先に言うと、動けないのは、あなたが怠けているからではありません。疲れた状態では、「決める」こと自体が、大きな負担になるからです。

朝の光が差す部屋とテーブルのスマホ、何から始めるか決められない朝

動けないのは、やる気の問題ではない

朝や夜勤明けに動き出せないのは、気合いが足りないからではありません。

私たちは、何かを「やる」より前に、頭の中で「何を、どの順番で、どうやるか」を決めています。この"決める"作業が、実はいちばん力を使います。

そして介護の仕事は、一日中こまかい判断の連続です。利用者さんの様子を見て、段取りを変えて、急なことに対応して。帰るころには、頭の「決める力」が、ほとんど残っていません。

その状態で、当日の自分に「さあ、何からやろう?」と問いかけても、決められなくて当然です。動けないのは、決める力のガス欠であって、やる気の問題ではないのです。

だからまず、動けない自分を責めるのをやめます。そのうえで、「決める力が切れた自分」でも動けるように、気合いではなく、仕組みのほうを変えていきます。

そもそも「決める力が切れる」とはどういうことかは、別の記事で詳しく書いています。今回はその対策として、当日の自分に決めさせない仕組みを考えていきます。

「決める人」と「動く人」を、時間でずらす

ここで、やり方を一つ変えてみます。

決めるのを、当日の自分にやらせない。 代わりに、まだ少し余力のある「前の晩の自分」に、決めておいてもらいます。言いかえれば、明日の自分に、決めることまで背負わせないということです。

つまり、こう役割を分けます。

  • 決める人 → 前の晩の自分
  • 動くだけの人 → 当日の自分

当日の自分は、もう一から決めなくていい。前の晩に決めておいたことを見て、まずそれだけやればいい。これだけでも、「何からやるか」で止まる時間を、少し減らせることがあります。

やること自体は、案外単純なこともあります。ゴミを出す。洗濯機を回す。買い物に行く。でも疲れていると、「今これをやる」と決めるところで止まります。だから、その「決める」だけを前の晩に済ませておく。当日に残るのは「動く」だけになります。

私が「前の晩の自分」に頼るようになった話

夜、翌日の服とノートを用意した家具の上、前の晩のひと手間

以前の私は、朝起きてから「さて、今日は何をしようか」と考えるところから始めていました。でも、夜勤明けの朝はとくに、その「考える」がうまくいきません。布団の中でスマホを見ながら、気づけば昼を過ぎている、ということがよくありました。

あるとき、前の晩に「明日は燃えるゴミだけ出す」とだけ決めて、玄関に小さなメモを貼ってみました。すると翌朝、メモを見て、ゴミだけ出して、また少し休めた。たったそれだけのことが、妙に、ほっとさせてくれたのを覚えています。

決めることが一つ減るだけで、朝の自分はこんなに動きやすくなるのか、と驚きました。それ以来、疲れている時期ほど、夜のうちに「明日の1つ」を決めておくようになりました。

前の晩に決めるのは、「1つだけ」でいい

ここで大事なのは、欲張らないことです。

明日の段取りを全部決めようとすると、それ自体が新しい決断疲れになって、結局できません。あれもこれもと決めはじめた夜に、かえって疲れて眠れなくなる——それでは本末転倒です。

決めるのは、1つだけ。明日いちばん引っかかりそうな「決める場面」を、1つだけ前倒しします。

たとえば、こんな具合です。

  • 明日着る服を、前の晩に出しておく:朝「何を着るか」を決めなくて済みます。
  • 朝ごはんを決めておく:起きてから考えない。毎日同じものでもかまいません。
  • 夜勤バッグを、前の晩に詰めておく:出勤前に「何を入れるか」で迷わない。
  • 帰宅後にやる1つを、玄関にメモしておく:帰ってから「何をやるか」で止まらない。

どれも、当日の自分から「決める」を1つ取り除いているだけです。やることを増やしているのではなく、決めることを減らしているのが、ポイントです。

ここで大事なのは、服やごはんやバッグそのものではありません。当日の自分が迷いやすい「決める場面」を、1つだけ前にずらすことです。

順番に全部やる必要はありません。自分がいちばん朝にもたつくところ、いちばん「面倒だな」と感じる場面を、一つ思い浮かべてみてください。そこを前の晩に潰しておくのが、いちばん効きます。

明日の自分に、決める負担を残さない

不思議なもので、夜のうちは、まだ少し先のことを考える余裕があります。

「明日の朝の自分は、たぶん何も決めたくないだろうな」——そう想像して、先に1つだけ決めておく。これは、未来の疲れた自分への、ちょっとした仕送りのようなものです。

夜勤明けの朝、玄関のメモに「ゴミを出すだけ」と書いてあれば、それだけやって、あとは寝ていい。前の晩の自分が決めておいてくれたから、当日の自分は迷わずに済みます。

朝の自分と、前の晩の自分は、同じ自分でも体力がまるで違います。疲れ切った朝に難しい判断をさせるより、まだ少し余裕のある夜の自分に「明日の分」を一つ預けておく。そう考えると、前の晩のひと手間も、自分を助けるための準備に思えてきます。

完璧な段取りはいりません。1つ決めてあるだけで、「何からやるか」で固まってしまう時間を、少し減らせることがあります。

夜勤で「前の晩」が作れない人へ

介護の仕事はシフト制なので、毎日同じ形の「前の晩」があるとは限りません。夜勤に入る日は、夜は職場にいます。

その場合は、「前の晩」を「まだ少し余裕のあるタイミング」と読み替えてください。夜勤に入る前の、家を出るちょっと前。休憩でひと息ついた時間。出勤前にコーヒーを飲んでいる数分でも、かまいません。

大事なのは「夜」という時間帯ではなく、まだ決める力が残っているうちに、先に決めておくという順番のほうです。疲れ切った自分ではなく、その少し手前の自分に、1つだけ決めてもらう。それさえできれば、タイミングはいつでもいいのです。

それでも決められない夜は、それでいい

もちろん、夜の時点でもう疲れ果てていて、何も決められない日もあります。

そういう日は、無理に決めなくて大丈夫です。「今日は決められなかった」と思うだけで十分で、それで自分を責める必要はありません。

この仕組みは、毎日きっちりやるものではなく、「できた日は、明日が少し楽になる」くらいの軽いものです。三日に一度でも、やった日の朝は、ほんの少し動きやすくなります。

今日できる、小さな一歩

朝の光が差す片づいた玄関、迷わず動き出せる朝の準備

今夜、または次に少し余裕があるタイミングで、1つだけ。寝る前でも、出勤前でも、休憩中でもかまいません。

次の自分がいちばん「決めるのが面倒そうなこと」を、1つ決めておいてください。

服でも、朝ごはんでも、帰宅後にやる1つでも。なんでもかまいません。迷うなら、服・ごはん・ゴミのどれか1つで大丈夫です。紙に書いても、物を出しておくだけでもいいです。

明日の自分が、それを見て「あ、これだけやればいいんだ」と思えたら、それで成功です。

決めるのは、まだ余力のある自分。動くのは、疲れた自分。役割を分けておくだけで、「何からやるか」で止まる時間を、少し減らせることがあります。

完璧にやろうとしなくていいし、毎日やらなくてもかまいません。ただ、「次の自分は、たぶん決めたくないだろうな」と、少しだけ先回りしておく。その小さな先回りが、疲れた日に「何からやるか」で止まる時間を、少し減らしてくれることがあります。


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