遅番を終えて、家に帰った夜。あるいは、夜勤明けで帰宅し、眠った方がいいと分かっている朝。
体はくたくたで、休んだ方がいいのはわかっている。それなのに、布団に入ってからもスマホを手放せない。動画を一本、もう一本。SNSをなんとなく開いて、気づけば時間だけが過ぎている。
「早く寝なきゃ」と思っているのに、指が止まらない。——そんな人に向けて書きます。
先に一つ言っておきたいのは、眠れないからスマホを見ているのではないかもしれない、ということです。スマホを閉じると、自分の時間まで終わってしまう気がして、眠る方へ進めない。そんな夜の話です。
夜にスマホをやめられないのは、あなたの意志が弱いからではありません。昼のあいだ、自分で使える時間がほとんどなく、そのぶんを夜に取り戻そうとしているのかもしれません。

やめられないのは、意志が弱いからではない
まず言っておきたいのは、疲れているのに夜更かししてしまうのは、あなたの自己管理ができていないからでも、だらしないからでもない、ということです。
一日中、人のために動く仕事をしていると、自分で自由に使える時間がほとんどありません。介護の仕事は、自分の予定より、利用者さんの状態や現場の流れを優先する場面が多い仕事です。休憩の時間や仕事の順番も思いどおりにならず、自分で自由に使えた感覚が少ないまま、一日が終わることがあります。
そうやって一日を過ごすと、夜になってやっと、誰にも指図されない「自分の時間」がやってきます。夜になってようやくできたその時間を、すぐに終わらせたくないと思うのは、自然なことです。
「ここで寝たら、今日が仕事だけで終わる」
夜スマホをやめられない夜の奥には、こんな感覚が隠れていることがあります。
「今ここで寝たら、今日は仕事をして寝ただけの一日になってしまう」。
眠れば、明日が少し楽になるのはわかっている。でも、寝てしまうと、自分のための時間を一秒も持てないまま今日が終わる気がして、それがなんとなく惜しい。だから、疲れているのに画面を見続けてしまう。
私にも覚えがあります。夜勤明けで頭は重いのに、帰宅してから布団の中でスマホを見続け、眠る時間を先延ばしにしたことがありました。休んだ方がいいと分かっていても、その時間だけは手放したくありませんでした。
これは、夜更かしが好きなのではなくて、昼に自分の時間がなさすぎた日ほど起きやすい、と私は感じています。
夜に「我慢」を足すより、昼に「自分の時間」を少し足す
ここで、「夜はスマホを見ない」と自分に禁止を課しても、たいていうまくいきません。昼に持てなかった自分の時間を夜に取り戻そうとしているのに、そこへ禁止を重ねても、私の場合は続きませんでした。「夜も我慢しなければ」と感じて、かえって苦しくなる日もありました。
そこで私がやってみたのは、夜に我慢を増やすのではなく、その手前で少しだけ「自分の時間」を先に作っておく、という方向でした。昼、夕方、帰宅した直後。どこでもいいので、5分だけ「自分で選んだ時間」を持ってみる。
- 休憩中に、好きな曲を一曲だけ聴く
- 帰り道で、いつもと違う道を少し歩く
- 車を降りる前に、何もせず数分だけ座る
- 帰宅後、家事を始める前に、家にある飲み物をゆっくり飲む
大事なのは、何をするかや時間の長さより、「今日は人のためではなく、自分で選んだ時間を一度持てた」と思えることです。ここでは、情報を止めて休むというより、自分で選んだ時間を一度持つこと自体に意味があります。それだけでも「今日は自分の時間がゼロじゃなかった」に変わります。
昼や夕方に、ほんの少しでも自分で選んだ時間があると、「今日は仕事だけで終わった」という感覚が、私の場合は弱まることがありました。その日は、夜のスマホを少し早く閉じられることもありました。
夜を短くしたいなら、「やめる」ではなく「いつもより15分だけ早く画面を閉じる」くらいで十分です。ただ、これはあくまで、昼に自分の時間を作ったうえでの補助くらいに思っておくと楽です。夜だけをどうにかしようとすると、また我慢が増えてしまうからです。

やってみて、変わったこと
私の場合は、夜を我慢するより、昼に小さな自分の時間を作るほうが、続けやすかったです。
休憩中に好きな音楽を一曲だけ聴く。それだけでも、夜になったときの「今日は自分の時間がなかった」という物足りなさが、少しだけ薄くなりました。夜スマホが完全になくなったわけではありません。でも、「もう十分だな」と思って画面を閉じられる夜が、前より増えた気がします。
効果には個人差があると思います。ただ、少なくとも私にとっては、夜に禁止を足すより、昼に少し足すほうが無理がありませんでした。
不規則な勤務ほど、夜に取り戻したくなる
これは、シフトが不規則な仕事ほど、強く出るように思います。
夜勤や早番・遅番でその日の自由時間がバラバラだと、「まとまった自分の時間」を昼に確保するのが難しい。だから、夜にしわ寄せがきて、寝る前のスマホで取り返そうとしてしまう。
夜勤明けはとくにそうです。頭は疲れきっているのに、やっと解放されたぶん、その時間を手放したくなくて、かえって寝そびれてしまう。
そういう日は、「今日も自分の時間がほとんどなかったから、夜を終わらせにくいのかもしれない」と気づくだけでも十分です。とれなかった日まで、失敗として数えなくて大丈夫です。
やめられない夜が、あってもいい
念のため書いておくと、夜更かししてしまう日があっても、それを責める必要はありません。
疲れている日ほど、自分の時間を惜しむのは当然のことです。「今日はどうしても手放せなかった」という夜が、たまにあってもいい。そういう日まで、失敗として数えなくて大丈夫です。
ただ、寝不足がずっと続いて、仕事や体調につらさが出ているなら、「意志が弱い」で片づけず、勤務や休み方そのものを見直すきっかけにしてもいいと思います。
夜のスマホ時間が、自分にとって大事な回復になっている人は、無理にやめる必要もありません。減らしたいのに減らせなくて困っている人だけ、昼に少し足してみる、で大丈夫です。
今日できる、小さな一歩
今日は、一つだけ。
昼、夕方、帰宅した直後。どこかで、5分だけ「自分で選んだ時間」を作ってみてください。好きな曲を一曲聴く。飲み物を急がず飲む。車や部屋で、何もせず少し座る。
何をするかより、「今日は自分のために、この時間を使った」と思えることが大事です。
夜のスマホをどうするかは、今日は考えなくても大丈夫です。

おわりに
夜スマホをやめられないのは、意志が弱いからではなく、昼になかった「自分の時間」を、夜に取り戻そうとしているからかもしれません。
だとしたら、夜だけを削ろうとするより、昼や夕方に自分の時間を少し入れるほうが、無理がないのだと思います。
少なくとも私にとっては、夜を削ろうとするより、昼に小さな余白を作るほうが、無理なく続けられました。
次に読む
疲れているのに、夜なかなか眠れない人へ
寝る前に、仕事を頭から手放す整え方の話です。
→ 疲れているのに眠れない夜へ
休んだはずなのに、休めた気がしない人へ
情報を入れない1分をつくる、休憩の質の話です。
→ 休んだ気がしない人へ。1分だけ「何もしない」をつくる
休みの日に、好きなことすら楽しめない人へ
自由な時間なのに楽しめない、という話です。
→ 休みの日に好きなことすら楽しめない人へ
疲れた日に、新作を開けず軽いものに流れてしまう人へ
軽さと満たされることは別、という話です。
→ 疲れた日に新作を開けない人へ
疲れをためない暮らしの記事を、まとめて読みたい人へ
休み方・疲れまわりの記事をまとめています。
→ 疲れをためない暮らしの記事まとめ


コメント