聞こうと思って、様子をうかがう。
みんな忙しそうにしている。今は手が離せなさそうだ。もう少し落ち着いてからにしよう。そう考えているうちに、時間だけが過ぎていく。
——そんな覚えがある人に向けて書きます。
先に結論を言うと、相談が遅くなるのは、いい加減だからでも、要領が悪いからでもないのかもしれません。いくつかの気持ちが重なって、切り出すタイミングを探し続けてしまうのだと思います。
気を使うほど、切り出すタイミングを探してしまう
相談をためらうときは、相手への気遣いと、自分がどう見られるかという不安が重なっていることがあります。
忙しそうな相手の手を止めたくない。こんなことも分からないと思われたくない。もう少し自分で考えれば、聞かずに済むかもしれない。
どれか一つではなく、いくつかの気持ちが混ざっています。だから、切り出すきっかけがなかなか見つからない。
ただ、相手が今聞ける状態なのかどうかは、見ているだけでは分からないこともあります。こちらだけでタイミングを決め続けるより、聞いてみる方法もあります。

「完成した説明」を用意しようとしていた
もう一つ、相談が遅れる理由があります。
聞く前に、状況を整理しなければと思う。何がどうなっていて、自分はどう考えていて、だからどうしたいのか。そこまで言えるようにならないと、相談してはいけない気がしてくる。
でも、整理できないから困っているわけです。
説明が完成するまで待っていると、いつまでも相談できません。整理できたころには、状況が変わっていることもあります。
相談は、答えを提出する場だけではない
ここが、この記事で一番書きたいところです。
相談は、完成した答えを提出する場だけではないと思います。
自分なりの考えがあれば伝えてもいい。まだまとまっていなければ、「どこから考えればいいか分かりません」と持っていってもいい。分からない状態を、一緒に整理してもらうための相談もあります。
最初から、きれいな順番で説明できなくても構いません。誰についての話か、何が分からないのか、いつから気になっているのか。今分かっていることを一つずつ伝えれば、相手の質問を受けながら一緒に整理できます。
新しい職場や、経験の浅いころほど、この壁は高い
新しい環境にいるときほど、相談のハードルは上がります。
まだ関係ができていないから、相手の反応が読めない。「こんなことも分からないのか」と思われたくない。周りが当たり前にやっていることを、自分だけ聞くのが気まずい。
そうやって聞けないまま、分からないことが積み重なっていく。あとから聞こうとすると、今度は「今さら聞けない」が加わります。
慣れている人は、どの程度で声をかけるかや、誰に聞けばいいかを、経験の中で少しずつ覚えています。経験が浅い時期にその基準が分からないのは、能力がないからとは限りません。まだ、その職場での相談の入口をつかめていないだけかもしれません。
それに、聞きやすさは職場によっても違います。経験のある人でも、相談しにくい場面はあります。聞けないことが続くとき、それが全部自分の性格のせいだとは限らないのだと思います。
今話せるかどうかは、相手にも決めてもらっていい
相手が忙しそうに見えても、今まったく話せないかどうかは、こちらから見ているだけでは分かりません。
急ぎでない相談なら、「今すぐではないのですが、あとで相談できる時間はありますか」と聞く方法もあります。
今聞くのか、少しあとにするのか。そのタイミングまで自分一人で決めず、相手にも選んでもらっていいのだと思います。

待ってよい相談と、先に伝えることは分けておく
相談の内容によっては、相手の手が空く時間を聞いてから話しても構いません。
ただ、利用者さんの急な変化や、安全に関わることで判断に迷っている場合は、説明がまとまるのを待たず、先に一言伝えていいと思います。
はっきりした理由は分からなくても、「いつもと違うように見えて、判断に迷っています」と伝えることはできます。原因まで決める必要はありません。
今見えている変化を共有することと、判断を丸投げすることは別だと思います。
夜勤は、聞ける相手が限られる
夜勤の時間帯は、日中より人数が少なくなります。
聞きたいことがあっても、相手が別の対応に入っていれば、声をかけるまでにさらに時間がかかる。日中なら誰かに確認できたことも、夜は自分で判断する場面が増えます。
そういう時間帯は、迷ったことを記録に残しておくだけでも違うと思います。その場で相談できなくても、「こう見えたので、こう対応した」と書いておけば、次の勤務の人がそこから続きを見られます。
相談は、その場の口頭だけとは限らないのかもしれません。

今日できる、小さな一歩
もし何か一つだけ試すなら、分からないまま相談するときの一言を、決めておいてください。
「うまく整理できていないのですが、一緒に確認してもらえますか」。最初から順番よく説明できなくても構いません。この一言のあとに、今分かっていることを一つずつ話せば十分です。
今日は、実際に相談するところまで進まなくても構いません。入口の一言を決めるだけで終わりです。
なお、利用者さんの急な変化や安全に関わる迷いの場合は、「いつもと様子が違うので、今確認をお願いします」と先に伝えてください。こちらは、整理を待たずに使う言葉です。
おわりに
相談をためらうときは、相手への気遣いや、自分がどう見られるかという不安が重なっていることがあります。
そのうえ、説明をきれいにまとめてから話そうとすると、いつまでも入口に立てません。
相談は、完成した答えを提出する場だけではありません。「分からない」「整理できていない」ところから、一緒に確認してもらう使い方もあります。
今すぐ声をかけられなくても構いません。まずは、分からないまま話し始めるための一言を、一つ持っておく。それだけでも、相談の準備としては十分だと思います。
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