苦手な人の態度が気になる人へ。「自分のせい」はまだ決まっていない

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朝、あいさつをしたら、返事がそっけなかった。

それだけで、頭の中が動き出す。昨日何かしただろうか。この前の言い方がまずかったのかもしれない。何も思い当たらないのに、落ち着かない。

——そんな経験がある人に向けて書きます。

先に結論を言うと、それはあなたが気にしすぎだからとは限りません。実際に見えたことと、頭の中で足した理由が、同じ重さで並んでしまっているのだと思います。

「返事がそっけなかった」は見えたこと、「自分のせい」はまだ分からないこと

この二つは、分けて考えられます。

あいさつへの返事が短かった。いつもより会話が少なかった。表情が硬く見えた。そこまでは、そのとき見えたことです。

一方で、「相手は怒っている」「自分が何かしたからだ」という部分は、まだ確かめていない推測です。

しかも、この推測は二段階になっています。態度から相手の気持ちを推測し、さらにその理由を自分に結びつけている。どちらも、確かめたわけではありません。

見えた態度と、頭の中で足したものが同じ重さになると、分からないことまで確定したように感じてしまいます。

朝の光が差し込む静かな廊下。誰かが通ったあとのような気配だけが残っている

相手の態度だけでは、理由までは分からない

人の態度がいつもと違って見える理由は、一つではありません。

寝不足かもしれない。別のことを考えていたのかもしれない。体調が悪いのかもしれない。声が届いていなかっただけかもしれない。こちらの言動に引っかかっている可能性もあります。

ただ、そっけない態度だけを見ても、どれが理由なのかまでは分かりません。

材料が足りないまま理由を探すと、自分が知っている出来事の中に原因を置きたくなることがあります。手元にある材料は「自分がしたこと」だけだからです。

思い当たることがないのに落ち着かないのは、材料が足りないまま答えを出そうとしているからなのかもしれません。

確かめようがないことを、考え続けてしまう

やっかいなのは、この推測が確かめにくいことです。

相手がなぜそっけなかったのかを、その場ですべて確かめるのは難しいことがあります。聞いたところで、相手も自分の気分の理由をはっきり言えないこともあります。

答えが出ないまま、同じことを何度も考える。帰ってからも、寝る前にも思い出す。

考えている時間の長さは、相手にはまったく伝わりません。こちらだけが消耗していきます。

夜のテーブルに置かれた飲みかけのマグカップ。間接照明だけの薄暗い部屋

自分が確認できるのは、自分の行動まで

相手の気持ちは確かめられなくても、自分の行動は確認できます。

伝える必要があったことを忘れていないか。約束した時間は守ったか。相手に失礼な言い方をした覚えはないか。

一度だけ振り返って、具体的に思い当たることがあれば、必要な確認や修正をする。業務上のやり取りで気になる点があるなら、「先ほどの伝え方で、不足していたところはありますか」と、自分の行動について聞くことはできます。相手の内面まで聞き出す必要はありません。

何も浮かばないなら、相手の態度から自分の間違いを探し続けなくていいと思います。

自分の行動について、確認したり直したりするところまでは自分の担当です。でも、理由が分からない相手の気分を、自分一人で直そうとするところまでは背負わなくていい。

交代制の職場は、距離を取りにくい

介護の職場では、この気疲れが起きやすいと思います。

シフトによっては、苦手な人と同じフロアや業務を長い時間一緒に回す日があります。自分の都合だけで距離を取れないため、相手の態度が気になると、その緊張を勤務中ずっと引きずりやすくなります。

それに、介護の仕事では、利用者さんの表情や声、普段との違いに注意を向ける場面があります。その状態のまま職員同士のやり取りでも相手の声や表情が気になると、必要以上に理由を考えてしまうことがあります。

ただ、利用者さんの変化を確認することと、同僚の気分の理由を自分で推測することは、同じではありません。

繰り返される具体的な言動は、気にしすぎだけで片づけない

ここまで書いたのは、理由の分からない一度の態度についてです。

一方で、特定の人にだけ強い言い方をする、聞こえるように悪く言う、業務に必要な情報を渡さない。そういったことが繰り返されているなら、少なくとも「自分が気にしすぎだから」だけで終わらせる話ではありません。

可能なら、いつ、どのようなことがあったかを短く残して、上司や職場の相談窓口へ伝えていいと思います。

特に、利用者さんへの対応や安全に必要な情報が共有されない場合は、自分の中で様子を見続けず、早めに責任者へ確認する必要があります。

この記事で分けたいのは、次の二つです。理由の分からない態度を、自動的に自分のせいにしない。繰り返される具体的な言動まで、自分の受け取り方の問題にしない。

今日できる、小さな一歩

もし何か一つだけ試すなら、相手の態度が気になったとき、「返事がそっけなかった。理由は、まだ分からない」と言葉にしてみてください。

相手の態度をなかったことにする必要はありません。自分のせいではない、と無理に言い聞かせる必要もありません。

自分に具体的な心当たりがあれば、あとでその行動だけを確認する。今は、見えたことと、まだ分からないことを分けられれば十分です。

少し開いたカーテンから朝の光が入る窓辺。静かに一日が始まる時間

おわりに

苦手な人の態度が気になるのは、気が小さいからとは限りません。

返事の短さや表情の違いから、その理由まで考え続けてしまうことがあります。

でも、見えたのは相手の態度までです。「自分が悪かった」というところまでは、まだ決まっていません。

自分の行動を一度確認して、具体的な心当たりがなければ、「理由は分からない」ところで止めていいと思います。気にならなくならなくても構いません。今日、自分が背負う範囲だけを決められれば十分です。


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